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道誉なり〈上〉 (中公文庫)
 
 

道誉なり〈上〉 (中公文庫) [文庫]

北方 謙三
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

「毀すこと、それがばさら」―六波羅探題を攻め滅ぼした足利高氏(尊氏)と、政事を自らつかさどる後醍醐帝との暗闘が風雲急を告げる中、「ばさら大名」佐々木道誉は数々の狼藉を働きながら、時代を、そして尊氏の心中を読んでいた。帝が二人立つ混迷の世で、尊氏の天下獲りを支え、しかし決して同心を口にしなかった道誉が、毀そうとしたものとは…。渾身の歴史巨篇。

登録情報

  • 文庫: 356ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (1999/02)
  • ISBN-10: 4122033462
  • ISBN-13: 978-4122033467
  • 発売日: 1999/02
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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By tomomori トップ500レビュアー
形式:文庫
南北朝時代は厄介だ。中心に外国思想かぶれ(朱子学)の強烈な天皇がいる。この天皇は徒手空拳ながら強い。「理想」や「正統」を振りかざすお方だからだ。対するは地生えの論理(利権調整)に生きる地方者集団だ(武士)。「理想」を持たない側は、万の兵を擁してもどこか分が悪い。相手が天皇なのでさらに悪い。争いは果てしなく続く。しかし面白い時代だ。あらら、と気付けば、公家も皇子も武家のように戦っている時代が現出しているのだ。
この時代の面白さを味わうなら本書である。文章も台詞も簡潔でカッコ良く、一瞬もダレることなく最終頁まで酩酊出来る。
道誉は確かにカッコイイが、「観察者」だ。彼は物語の最初と最後で変わらない。最初から人間が出来ている。影の主役は足利尊氏だろう。「武門の棟梁」という運命に引きずられ、天皇と優柔不断に敵対し、皇子たちを殺し、実弟を殺し、実の息子を放逐する。壮絶な人生を送る、いまいちヒロイックじゃない人物なのだが、造形が大変に魅力的だ。
北方氏には南北朝シリーズとも言える一連の作品群があるが、この作品が一番面白い。しかし本書を堪能したら他の作品も間違いなく楽しめる。『破軍の星』は若き北畠顕家が主人公で、密かにギャル人気がある。『武王の門』は九州の南朝方という珍しい題材を小説に仕立てて一気に読ませる逸品。
しかし後醍醐天皇の皇子たちの運命たるや…貴人に情なしか。思想かぶれの魔境か。
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6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫|Amazonが確認した購入
南北朝時代の傑物の一人佐々木道誉の視点から描く、室町幕府勃興の物語。
北方先生は歴史小説の中ではあまりトップの内面を描写しないと思っていた。(「楊家将」で皇帝を描写はしているが、主役級の扱いではない。)
この作品では幕府のトップである足利尊氏の人物像をかなり書き込んで、佐々木道誉から見た尊氏という造りになっている。
道誉自身も戦闘で子を失ったりするわけだが、尊氏といえば、弟直義や股肱の臣でもある高師直といった対幕府、対南朝戦を共に乗り越えてきた「近しい者」を自分の手で葬り去っている。
後世から見れば「なんで?」とか「自分の栄達のためにはなんでもするひどい奴」のような印象をもたれても仕方ないのだが、この作品で整理された解釈を追うと、「さもありなん」と思えないでもない。
史実であるとは思わないが、北方先生の解釈する尊氏像にそれほど違和感はない。

結局は「男がどう生きるか(どう死ぬか)」という北方作品普遍のテーマに行き着くわけだが、この作品はあまりストレートにその主題を表現しているとは言いがたい。
その意味で一連の南北朝物の中では「異質」。
「笛」「唄」「舞」といった「芸道」を効果的に登場人物の内面を写す「鏡」のように使っている。その点も異質である。

本作に先行する
「悪党の裔」(赤松円心)
本作の後に刊行された
「楠木正成」
も合わせて、できれば「悪党の裔」、本作、「楠木正成」の順に読まれることをお勧めする。
文字というメディアでありながら、非常に立体的な解釈につながることと思う。
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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
生き様 2009/10/16
形式:文庫
この作品で、作者の南北朝時代を読むのは3作目。

佐々木道誉を主に、尊氏サイドと平行していく形でストーリーが進んでいった。
前2作は、悪党が主軸だったので、今回武士が主で新鮮な気がした。
生き方も考え方も、背負っているものも違うと、改めて思った。

相変わらず文章が魅力で、すらすらと読んでしまった。
道誉=バサラ、というものが何か、なんとなく感じることが出来た様な気がした。

道誉にかぎらず、作品に出てくる人たちはみんな、
どこか頭の回転や機転や視野が非凡だなぁと
羨望してしまう。

(2009.8.10読)
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