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最も参考になったカスタマーレビュー
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5つ星のうち 3.0
議論の材料としては意義もあるが,
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レビュー対象商品: 道徳を問いなおす リベラリズムと教育のゆくえ (ちくま新書) (新書)
興味深い論点も多いが、全般にかなり性善説的で楽観的なリベラリズムに立脚していて、その点で立場はかなり甘いものだと感じざるをえなかった。仮構上の存在としてはともかく、現実の人間が果たして本書が想定しているような「自由な個人」として生きられるかどうかは疑問であり、「負荷なき自己」などありえないという、サンデルらのコミュニタリアニズムからの批判に耐えるものではないだろう。逆に本書からのコミュニタリアニズム批判はきわめて原始的なもので、サンデルらによってすでに答えられているものばかりだ。 著者の支持する「一回限りの道徳」、道徳的個別主義は、確かに規範原理偏重の従来の倫理に対するアンチテーゼとしての意義はあるものの、間違えれば無原則な場当たり主義に陥る危険がある。それを避けるためには、規範原理の役割をきちんと位置づける必要があるだろう。その意味でも倫理学を「法則なき学問」としようというのは暴論だし、ケース・スタディの意義は認めるにしても、そこからの示唆を他のケースに適用するための具体的な方法論が必要だ。こうした必要な論議が欠けているために、著者の主張する「個別性への配慮」は空念仏に終わりかねない。 評者も哲学教育には大賛成、というかそのためのある実践にも携わっているが、著者のように、道徳教育や民主主義的な態度の育成のために哲学教育を用いようというのは疑問だ。これはいわば哲学を「飼い馴らそう」という発想であり、哲学的思考が本来もっているラディカリズムへの認識が不足している。哲学には、著者が信奉する民主主義や生命尊重の態度といった価値を根底からおびやかすような思考の可能性が含まれていることは、ニーチェを引き合いに出すまでもない。ましてそれをかなり早い段階の子どもの教育に導入しようとすれば、よほど力量と知識のある教師が入念に準備を重ねた上でなければ不可能だろう。子どもの発達段階さえ考慮しないで「子どもに議論をさせて大丈夫か」を云々するのは甘すぎるし、本書の提言を不用意に実践すれば(真に受ける現場の教師はいないと思うが)、それこそ学級崩壊ものの壊滅的な結果を招く危険もある。哲学教育論としてはかなり安易で低レベルなものと判断せざるを得なかった。 センのケイパビリティ論やギブソンのアフォーダンス論など新しい理論・知見は参照されているものの、基本姿勢は一時代前の自由教育論の域を出るものではなく、本格的な批判に耐えるのは難しい主張だろう。
13 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
新しくシステマティックな道徳教育ですが,
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レビュー対象商品: 道徳を問いなおす リベラリズムと教育のゆくえ (ちくま新書) (新書)
徳目だけではなく、政治まで含めたシステマティックで高邁な道徳教育の提案です。「正義」と「善」の違いなどいろいろ考えさせられる問題提起もあり面白く読めましたが、理想が高すぎて、現実には無理というのが正直な感想です。 私自身道徳的に劣っているとは思いませんが、やはり落ちているゴミを拾うのは自宅や勤務先であり、道ばたのゴミはひろいません。 一種、ユートピアのような世界をめざせば著者の主張も一理あるとは思いますが、自分の行為を自省するのではなく、「これくらいいいよね」と肯定する人口が増えている現実からは乖離しています。教える人がだらけていれば、教えられる人もだらけてしまう。OJTが上司を超えられないのと似ています。
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