釈迦は今まで自分が幸福だと思っていたものがすべて虚しくなり、山の中にはいった。そして聖書のはじまりも「混沌」であり、「世のすべては虚しい」と説いている。このことに目を止めた綾子は、幼なじみでクリスチャンであった前川正の深く清らかな愛情で、次第にキリスト信仰の道へ、迷い疑いつつ激しく葛藤しながら進んでゆく。本書は虚無と絶望からはじまる「自分のこころの歴史」を赤裸々に、また緻密に描き出した著者の自伝小説である。
また、著者自身の信仰生活の道程が記されているとともに、青春期を通して多くの人々がぶつかる「真の愛とは何か」「人が人を愛するとはどのようなことか」を深く追求しつづけたその姿が記録されている。
「綾ちゃん、人間はね、一人一人に与えられた道があるんですよ」と前川正によって優しく語られる言葉が本書の主題であり、さまざまな困難や過酷な状況にあろうとも「神への全き信頼」を抱くまでに成長した綾子の姿が読者のこころを圧倒的に魅了する。
青春編とあるだけに、若い読者の「自らの道を求めている」魂に響く部分が多い。また青春期を過ぎた読者にとっても、著者とともに自分の青春期を振り返る作業ができる感慨深い作品となるに違いない。(青山浩子)
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