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過防備都市 (中公新書ラクレ)
 
 

過防備都市 (中公新書ラクレ) [新書]

五十嵐 太郎
5つ星のうち 3.0  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 798 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

ピッキングや外国人犯罪の増加が報道され、防犯意識が高まった。監視カメラやNシステムの設置、地域社会での自警団結成が盛んだ。現代都市の悪意と善意を気鋭の建築評論家が読み解く。

出版社からのコメント

「みんなお前を見ている」。佐世保で起きた女子小学生同級生殺人事件の学校正門には、上記の警句が掲げられている、と重松清氏が指摘しています(『文藝春秋』8月号)。「お前」は「不審者」を指すようですが、「この看板を見たらドキリとさせられるだろうな」と思うのは、常日頃行いが悪い編集子だけなのでしょうか? 本書はこの種の「ドキリ」が溢れる日本社会の現状を、100枚超の写真を参照しながら批評します。

登録情報

  • 新書: 238ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2004/07)
  • ISBN-10: 4121501403
  • ISBN-13: 978-4121501400
  • 発売日: 2004/07
  • 商品の寸法: 17.2 x 11 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.0  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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17 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By モチヅキ VINE™ メンバー
形式:新書
 1967年生まれの建築史家が2004年に刊行した新書本。タイトルの「過防備都市」とは、セキュリティを過剰に求める監視社会のことであり、本書は建築的な視点からそれを論じる。1990年代以降、社会はテロや犯罪などの危険に満ちているように感じられており、過剰にセキュリティを求める風潮が強まった。それは一方では監視カメラや防犯グッズ、セコムのようなハイテク・セキュリティを普及させ(弱者への配慮や防犯ビジネスとも連動した「スキャナー化」)、他方では自警団やガーディアン・エンジェルズに見られる市民社会の警察化と相互監視を全国的に帰結している(街づくり・町おこし・雇用創出とも連動)。これらは共に、見知らぬ他者への信頼に基づく近代社会の機能不全を示している。ストリート犯罪の多発は路上を「犯罪者予備軍」に対する(警察と提携した)自警団の戦場と化し(破れ窓理論、ホームレス排除ベンチの例)、池田小事件以後、要塞化された学校では、天災ではなく不審者からの避難訓練が行なわれ、校内や通学路の安全対策も議論され(防犯マップ等)、住宅には鍵や窓への防犯対策の標準装備が求められる。都市に開かれた住宅建築の流れは、ここに逆転した。しかしいくら過防備都市を精緻に構築しようとも、完全なセキュリティは不可能であり、せいぜいテロや犯罪を違う場所に転移するだけである。超小型カメラによる盗撮のように、セキュリティそのものが、場合によってはテロや犯罪を誘発することも考えられる。現在のセキュリティは、安心感というより不安感と他者への疑いの目を増幅させているのではないか。著者は近年の各地の事例を多くの写真と共に紹介しながら、以上のような流れに警告を発し、閉ざされた建築よりは開かれた建築(「自然な監視」の環境)を、対症療法よりは不平等の拡散への対策のような根本的な解決策を主張している。ただし、対案の提案よりは事例紹介が中心になった内容である。

 

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10 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
タイトルを考えたという編集者はエラい。

内容は、ハイテクを駆使したビルや住宅等のセキュリティシステムや、街角の監視カメラ、学校のソフト・ハードでの児童生徒のガード、地域の自衛的組織など、近年とみに増加した、さまざまな防御の仕組みを新聞・雑誌の引用等で紹介すると共に、そこへの違和感を提起する、というもの。

これでもか、これでもか、という事例は参考になるが、それについての筆者の意見や提案はほとんど無い。
序章末の「悲しい現実である。しかし、本当にそれで良いのだろうか」に始まり、二章末では「日本は自衛する西部劇の世界に突入してしまうのか」、四章末は「だが、現代のセキュリティは不安を増幅させることだけに貢献している」等、説明の後に一言「これって変?」というだけである。
最後の方で、銃社会でもアメリカに比べ殺人の少ないカナダでは鍵を掛けない文化であること、荒川区等で「無防備都市」宣言の動きがあることなど、いくつかの(別の方向の)動きが紹介されているのが、数少ない解決への提案的な部分だが、それとて紹介に過ぎない。

その意味で、タイトルの「過」という言葉に、「過剰」「ちょっと多いんじゃあない?」という意味が含まれているが、本文自体にその程度のニュアンスしか語られていない。つまり、タイトルで過不足なくまとめられている。
これがエラい、という理由。

思うところがないのか、あるいは批判が怖いのか、「小心者の評論家」という感が否めない。

有用なネタ本としてしまっておくことにする。

このレビューは参考になりましたか?
13 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By モワノンプリュ VINE™ メンバー
形式:新書
 ロッセリーニ『無防備都市』を意識したケレン味たっぷりの書名は、確かに魅力的。近年のセキュリティ志向の高まりを「平時における路上の軍事化」(p6)と位置づけ、開放性を重視する建築思想との対立や絡み合いを検証しようというモチーフも、理解できないではない。だが残念ながら、本書は研究メモの段階に留まっている。「不安こそが、われわれの存在論的地平を規定しつつある」(p104)などと高らかに謳い上げた割には、理論的に詰めた話がなくて肩透かしだった。

 なるほど、「個人的にはカメラだらけの都市空間を快く思わない」(p42)といった立場表明はしている。でも「個人的には」って言い方に逃げを感じるし、その根拠も「カメラと銃の構造が似ている」(p42)だの、「見えない鎖によって、隠れんぼを奪われた児童たち」(p132)だの、「子どもが寄り道する自由は奪われる」(p136)だの。あるいは荒川修作の「養老天命反転地公園」に言及して、「あれだけ危険な空間だからこそ、身体感覚が研ぎすまされる」(p149)だの、甚だしく戦闘力に欠ける話。

 都市を「見えない戦争による分断に脅え、監視の目がおおう不自由な場所」(p219)と化し、「近代社会の自由な公共空間の衰弱」(p211)を導いた要因についても、著者は本気で追求しようとはしていない。結論はお約束の「問われるべきは社会構造」(p227)。セキュリティは「現状追認の対症療法である。むしろ根本的な解決策を考えるべきではないか」(p227)と、ま、その通りですが…「では明日のこの時間、またこのチャンネルでお会いしましょう」って空耳が聞こえそうでした。
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