過働社会――タイトルに惹かれ、偶然、本屋で手に取った。取った理由は、個人的な疑問による。会社で実務の日々を過ごしながら、毎日毎日、なぜこうも仕事が尽きないものか・・・と、ふと思い始めたからである。
本書を通読するに、長時間労働が起きる一因には、成果だけが問われる仕事(ようは労働時間で測れないような仕事)の増加があるようだ。成果を求められるような労働者は、一見、裁量度が高く、「自分で自分の仕事が決められる」ように見える。自分で決められるならば労働時間もコントロールできそうなものだが、本書が示す実態は皮肉にもその逆である。すなわち、そんな労働者ほど労働時間は長い。仕事の“エンドレス状態”は続く。
理由は明快である。著者の分析によれば、「会社から求められている成果に伴う業務量は、長時間労働を前提にして決められている」からである。しかも、さらに皮肉なことに、この種の労働者ほど仕事に対する意欲が高い。成果を出すために、より一層時間をかけて、自ら進んで働き続ける――。いずれも、私が実務で得た認識に近い。
著者は、20年にわたり日本人の労働時間について調査研究を重ねたのだという。本書はその渾身の作である。自らの働きぶりを振り返る意味もある。働く人すべてに本書を薦めたい。