この本は、たとえば自分が子どもを持ったとき、子どもが思春期になったとき、
自立について考えるときや、父親・母親としての役割に混乱して悩んだときに
読んでみると、ふっと力が抜ける本だろう。
日本の家族が、母性や自立・個の確立などの視点で書かれてある。
それを通して、起こってくる家族の諸々の問題について、
渦中の苦しい状況を、一度客観視できるかもしれない。
その結果、読者は、ある部分は開き直り、またある部分は
慎重に考えるポイントだろうな、という、その「さじ加減」の
目安を決める手助けとなるだろう。
以下に、個人的におもしろいなと感じた河合隼雄の文をあげたい。
「子どもにスパッと切られて見事に死んでみせることができないと駄目です。」
「親というのは、どっかで死ななくちゃならない、という義務がある気がする。」という。
学校の先生でもセラピストも然りで、殺され役として、
スパッと来たときにスパッと死ねる、というのがものすごく大事だそうだ。
「人間は天使になろうとすると悪魔になる」。
これはすべてをコントロールしようとすると、どこかにひずみが表れることを
言っているようである。
「試練は人を鍛える場合と、つぶす場合がある」
「人間の悩みというのは、ある程度その人を守っているんですよ。
(略)うっかり悩みがなくなると、ものすごくおかしくなる人がいます。
だから僕らはすぐに悩みをとらない。」
確かに、悩みというのは表れるべくして出てきている。
あまりに大きいと第三者の助けを借りたり環境を調整しなければならないが、
かといって急に悩みがなくなるというのも考え物で、悩みには悩みなりの
存在意義というか、何らかの役割があり、働きがあるということだろう。
・・・・とても読みやすいので、
河合隼雄さんの本を読み始める方にいい本だろう。