・小学校の子どもをお持ちのご両親 ・スポーツを自分でもやったり観たりするのが好きな方 ・人間の身体やその動きについて興味のある方
ご存じない方も多いかもしれませんが、日本の陸上短距離界はここ10年で世界のトップクラスに躍り出ました。いまや“アフリカ系と対等になった短距離のメダル獲得”、そして“アフリカ系を除く100メートルの世界記録は日本人”なのです。日本人の体格では、欧米人にかなわないと思われていた100メートルや200メートルで、日本人はアフリカ系の選手に次ぐ2番手につけています。 なぜ、そのような“奇跡”が起きたのか? その原動力となったのが、日本の「スポーツ・バイオメカニクス」研究です。バイオメカニクスとは、力学的に身体運動を研究する学問分野ですが、ここ10年の研究成果により、速く走るためのメカニズムがあきらかになったのです。 それは、これまでのトレーニングの常識を完全に覆すものでした。学校の体育の授業では、「モモを高く上げて」「腕を強く振って」「地面をシッカリ蹴って」などの指導が行われてきましたが、いま日本のトップアスリートたちは、これとはまったく違った走り方をしているのです。それは、「股関節」と「体幹」を効率よく使った走り方です。 この正しい走り方を親子で実践できるように、「ドリル」という形でわかりやすくまとめたものが、本書で紹介している「股関節活性化ドリル」です。本書のドリルを1日20分、2週間から1ヶ月程度続けることで、オリンピック選手と同じ走り方を誰でも身につけることができ、見違えるほど速く走れるようになります。 このドリルは、横浜F・マリノス ジュニアチームや神奈川県横浜市立田奈小学校でも実践しており、具体的な成果が上がっています。また、本書でも対談してくれた日本選手権女子100メートル7連覇の小島(旧姓・新井)初佳選手(ピップフジモト陸上競技部)も、「股関節活性化ドリル」をトレーニングに取り入れています。 子どもが「正しい走り」を身につけて足が速くなれば、運動会で1等賞を狙えるだけでなく、大きな自信を持つことができるでしょう。自分が小学校のころを思い出してみれば、そのときの喜びや感動、なかでも挑戦してやりとげた満足感はいまでも鮮明に覚えているはずです。そして足が速くなれば、サッカーや野球などほかのスポーツにも積極的に取り組めるようになり、正しい身体感覚を養うことができます。 もちろん、すべての子どもが1等賞になれるわけではありませんが、短距離が遅い子は、長距離が速い可能性があります。そういった子どもの能力をきちんと見極めて導いてあげることも両親の役目かもしれません。本書では、短距離ランナー向きか長距離ランナー向きかなどをはかるバロメータも紹介しています。 また、子どもを持つお父さん、お母さんだけでなく、スポーツや運動に興味のある方にも、楽しく読んでもらえるように「シューズの選び方」などのコラムや日本で人気のあった「カール・ルイス選手」のエピソードなども満載しています。 本書は、読み物としても十分楽しめる内容ですが、自分の身体は変えられるという実体験をみなさんに、ぜひしてもらえればと思います。
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