それまで迷信扱いされていた風水というものに、脳科学や心理学の観点からの再検証、再定義を行い、「風水環境科学」として再構築する・・・という著者の意図は非常によく理解出来ます。
しかし、今一度思い出してみるべきなのは、科学の基本にして最重要な定義は「再現性」であるという事です。
つまり、本書の中で提唱されている事を実行した人全員・・・とまでは言わなくても、八割方の人間に同じ効果をもたらすものでなければ、それは科学と呼ぶには未だ足りない、「疑似科学」の範疇であるという事です。
例えば、『たとえば、天井が高く、広々とした住宅に暮らすと、「脳」の「頭頂葉」が発達し、気分が開放的になり、リラックスできます。』(157ページ)とありますが、これは本職の脳神経外科医や脳科学者も認めている見解なのかどうか、今一つ信憑性に欠ける部分があります。
実際、私などは天井が高い神社仏閣、教会、ビルなどの中に入ると、途端に落ち着かない気分になって貧乏ゆすりが始まってしまいます。
頭の上を流れる冷たい空気が気になってしまうからです。
このように、同一環境の中に居ても、必ずしも人々が皆同じ情報を受け取っている(感じている)とは限らないわけですから、風水に厳密な再現性を持たせる為には、更なる研究と、本職の脳科学者によるメタ分析(Aさんの研究結果をBさんが再研究する事)が必要でしょう。
よって、著者が提唱する「風水環境科学」は、「まだまだこれからの学問」であると言えます。