原作はW・キャンベル・Jrの傑作SF『影が行く』で、51年公開の『遊星よりの物体X』のリメイクです。しかし、単なるリメイクではなく(オリジナルは明らかにヒューマノイドで、原作にある不気味さが微塵も感じられませんでした)、T・バートンが自分の『Planet of the Apes』を『猿の惑星』のリ・イマジネーションと豪語していた以上に、オリジナルを画期的に改変しています。
その第1は、ロブ・ボッティンがデザインしたクリーチャーの不気味さでしょう。血液1滴、細胞1個でも単独に生きようとする生命体をこれ以上ないという形で視覚化しています。いろんなクリーチャーが登場し、なかにはばかばかしいのもありますが、総体としては『エイリアン』に匹敵する不気味さがあります。
その第2は、とにかく相手を同化しよう、生き延びようとする生命体の生き残り戦略です。しかもありあわせの材料でもって宇宙船を自作するほど高度に知的ときています。人類がとてもかなう相手ではありません。この観点から印象的なのは、ラスト・シーンです。生命体との壮絶な死闘を終えて息も絶え絡えのマクレディ(カート・ラッセル)とその前に現れたチャイルズ(だったはず、キース・デビッド)がやがて襲ってくる南極の冷気の中で凍死するのを待つわけですが、その間も互いに生命体に同化されているのではないかとの猜疑の目を向けつつ、絶望的な思いと諦めのうちに酒を飲み交わします。このような印象的なラスト・シーンは、多くのホラー映画・SF映画を見てきた私でも、これに匹敵するものをあげるのは困難なほど優れたものでした。