中国においては早くから散佚してしまったが、日本に伝来したものが現在まで遺されている。
この書物が日本の古典文学に与えた影響は非常に大きい。あの魯迅が中国に「逆輸入」したことでも有名である。
話の筋自体は「仕事で僻地にやってきた役人が、2人の仙女が住む家を訪れ、そのうちの1人と契りを交わし、やがて帰っていく」というごく単純なもの。
しかし、重要なのは流麗でありながらもきわめて難解な「文体」の方である。
たとえば井原西鶴の作品『好色一代女』には、この『遊仙窟』の訓読文から採ったとおぼしき訓(ルビ)が多数存在する。
きれいに現代語訳されてしまって今ひとつそのあたりが伝わってこないのは残念だが、岩波文庫で手軽に読めるのは大きな利点だろう。
古写本の影印が付録なのも大変ありがたいが、是非「読み下し文」もつけてほしいところではある。