2006年3月心不全のために70歳で急逝された久世光彦(てるひこ)氏のエッセイ集である。
本の大半は「遊びをせんとや生まれけむ」というタイトルで雑誌「オール読物」に連載されていたエッセイを纏めたもの。
私は久世氏の訃報の数日前、この楽しみにしていた「遊びをせんとや生まれけむ」を読んだばかりで大変びっくりした覚えがある。
しかも、最後のエッセイの締めの言葉が≪花ニ嵐ノタトエモアルサ。サヨナラダケガ人生ダ。友ニサヨナラ告ゲタアト、口ズサミタイ歌ガアル≫死を予感していたのであろうか。ジンと心に響く。
このエッセイ集、前半は笑いあり涙ありで楽しませてもらった。ご存じ久世氏は「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」などのテレビドラマを手掛けた有名な演出家であり、プロデューサーでもある。それらの裏話は興味深く大変面白かった。「テレビはあのころ、<巨きな玩具>だった」と語る久世氏にどこかもの悲しい孤独な人間像が浮かぶ。
文章は作詞や小説を執筆するだけに、流麗で無駄がなくとても読みやすい。
ただ、この本の後半1/4の「極上の暇つぶし」は内容がやや難解でマニアックなところもあり、前半と趣が違うので「遊びをせんとや生まれけむ」だけのエッセイ集でも良かったのではないかと思う。☆5つあげたいところだがあえて☆4つとした。