人物のデッサンが狂っていたり、演出がつたないという意見がある。それについては否定はしないし、実際そう思う。
しかし、そういった欠点を補える魅力がこの作品にはある。
人の強さや美しさが容姿ではなく、訪れる困難や立ち塞がる障害を乗り越えようとする姿勢に宿るとすれば、この作品のキャラクター達は強く美しいと言える。
また、困難や障害を乗り越ようという意志に、読んでいて胸を熱くさせられる。
照れ隠しだろうが、作者自身、中二病的な話、設定と揶揄している。しかしシニカルを気取って斜に構えることが良しとされがちな世の中で、奇をてらわず美しさや熱さをストレートに表現する作品を作ることができるのは、まだ作者が若いという点を考慮しても一つの才能であるとすら思う。
人間の強さや美しさ、熱さを感じさせられる作品は、昨今では珍しく、それゆえ非常に魅力的だ。そこがこの漫画を支持する理由になる。
「所属する団体や置かれた立場により、それぞれの考えは異なる。そこに既得権益が絡めば、人間どうしの争いの火種になりえる」と今後の伏線が張られた第19話「まだ目を見れない」、この作品の熱さや勢いが凝縮された第21話「開門」、などこの巻も見所あり。
作者が以前受けたインタビューで「最後のシーンはこうしたいという計画があって、けっこう細かいところまで鮮明に考えています」と答えている。変にそつなくこなすようになってこじんまりとまとまるよりも、多少荒削りでも熱さと勢いに溢れる漫画をラストまで引き続き描いて欲しい。今後の期待もこめて☆5つ。