相変わらず文章はうまい。読者の興味の引きつけ方、科学者以外の読者に向かっても科学者として受けた感動を生き生きと伝える筆致など、さすがだと思う。特にレンスキーの大腸菌実験の詳細を軽やかに説明してみせるところがすごい。
ただ全体的には、創造論者への反論が多くて見通しが悪くなっている。まあ日本でも進化を否定したがっている人は少なくないし、アメリカの事情を知るにも良いと思うのだが、ターゲットがわかりづらいかな。本書がうまくマッチするのは学校の教師だろうか。進化の証拠を集めた本としてはジェリー・コインの『進化のなぜを解明する』の方が良くまとまっていて、一冊だけ読むなら向こうをおすすめする。
雲はどのようにしてできるのか?というような問いに、大人なら大まかにでも答えられなければ恥ずかしいように、進化はなぜ事実だと言えるのか?という質問にも誰もが答えられる時代になってほしいと思う。