書名にピンときて、昨日、書店で購入。あまり硬いことは書かれていないので、一晩で読了した。
著者が縷々書いているように、医者と患者はお互いの気持が分からない傾向がある。 特に外部からは医師の殺人的超多忙さが理解し難い。 私が多少わかったような気になっているのは、損保の医療情報担当者という商売柄、医師と話をすることが多く、更に私自身が急病で入院して医療スタッフの働きぶりを垣間見る機会があったからだ。 自分が患者になって手術を受けるときは、十分休養をとった元気な先生に担当して貰いたいのが人情である。
医療過誤訴訟・クレーム濫発が医師を萎縮させている、というのも本書の主要テーマだが、それも事実だ。私が医師賠償責任保険の調査を担当して感じるのは、賠償要求をされた医師の不安が尋常でないことだ。 医師が遺族に勧めても病理解剖に応じず、それでいて後で提訴されたケースがあった。アンフェアだと思う。 行き過ぎた「権利の濫用」が地域医療荒廃を更に加速し、自分の首を絞めるの図である。
超多忙職場から、バーンアウトした医師が逃げ出す傾向も残念ながら既に現実で、私の街でも昨今、担当医が急に退職して取材に支障を来たすケースが出てきた。保険会社と医師も、互いの事情を分かり合わなくてはならない。
もとより本書は開業医の利益代表が書いた本であり、多少は割り引いて批判的に読む必要はあるが、自ら普通の開業医である日本医師会長が率直に心情を吐露した本で、概ね納得できる内容だった。お薦めできる。