典型的なタイトルだけで売る本です。
著者はたしかに短期間で1000万円の利益を得たかも知れませんが、新規に就農しようとしている人が参考にしても、実現できる人はかなり限定されますね。
言っている内容は
1.農協が強い野菜産地で出荷施設が整っている場所に就農。(有力な政治家がいるなど)
2.出荷は全て農協
3.栽培技術は農協や公的機関から
4.規模拡大する(ただし適正な範囲で)
5.単純作業は外注化(パートさんなど)
6.機械類の投資は中古品などで抑える
7.栽培管理を徹底して無駄を出さない
ということで、1〜4は既存のシステムにのっかるということだし、5はある程度の規模なら当たり前。これで簡単に利益が出るなら農業後継者は減らないと思うのですが。ただ著者は6〜7は徹底しており、このあたりの能力があるのでしょう。しかし重要な7についてこの本ではそれほど深く書いてありません。
さらに
8.両親が農家である程度知識があり、土作りもある程度できている
というのも大きいと思います。これは新規就農者には実現不可能です。例えばピーマンの栽培管理(結構時間がかかります)についてほとんど書いておらず、収穫さえしていれば良さそうですが、収穫以外の管理を経験のあるお母さんがしているからできているのです。
また著者はせまい経験しかしていないので、知らないことはかなりいい加減なことを書きます。たとえば米は1ヘクタールで200万円の利益などと書いてありますが、ありえません。反収8俵とすると新潟コシヒカリですら1俵1万9千円くらいですよ。1ヘクタールで売上が150万円くらいなのにどうして利益が200万円になりますか。米が1ヘクタールで200万円の利益ならたった3ヘクタールで600万円の利益。3ヘクタールで食べている農家なんていません。
直売を否定していますが、それもそれでうまくいっていない農家しか知らないだけで、直売で成功している農家も全国にはたくさんいます。
自分がネギで成功したからネギをすすめていますが、どの作目も一長一短があり、ネギで失敗している人もいるし、他の作目で成功している人もいますよ。
また気になるのは1000万円の利益を強調しておきながら、その売上と経費の内訳は全然書いてないことです。
まったく経験が無くて自分だけで新規に就農しようとしている人や、就農場所が決まっている人には全く参考になりません。この本が役に立つのはネギの産地に農地と両親がある人だけかな。この本を読んでわかったつもりになって就農してしまわないように気をつけましょう。