誰が担い手なのか実態は不明ですが、鉄道は「環境にやさしい交通機関として再評価の機運が高まっている」そうで、『
鉄道進化論』・『
鉄道新世紀』の増補完全版である本書は、これに連なるものです。たしかに、“撮り鉄”・”乗り鉄”といった形で鉄道ファンがテレビで紹介され、「鉄道」はにわかにブームの感があります(一部ファンによる度の過ぎた行為にあきれる人も多いと思いますが、このような光景は今に始まったことではありません)。
一方、鉄道事業をビジネスの視点から取り扱った書籍はほとんどなく、趣味としての鉄道と、ビジネスとしての鉄道の間には、大きな断絶があります(真偽はともかく、「”マニア”は、鉄道会社は採用しない」という定説もあります)。その意味で、“永久”かどうかはさておき、経済誌による鉄道の特集自体が評価すべき企画であり、”保存版”というに値するでしょう。7月8日付の交通新聞(業界紙)にも紹介されています。
特にお薦めのコンテンツは、以下の二つです。いずれも、上記バックナンバーにはない独自のものです。
一つは、小田急ロマンスカーVSEや南海特急ラピートを担当したデザイナー諸氏へのインタビューです。
デザイナーの生の声は、鉄道誌でもあまり取り上げられることがなく、ビジネスの商品としての鉄道車両への理解を深めるのに貴重なものです。
いま一つは、私鉄を含めた各路線の経常収支表です。
このような資料は、各企業内部にはもちろんあるでしょうが、公開はされていません。これが、路線ごとの経営に関する一般の議論が生まれない理由です。本誌による独自試算なので、信憑性の問題がなきにしもあらずですが、このような経営資料が公開されたことは画期的なことです。週刊東洋経済の大坂直樹副編集長は「国鉄がJRに移行して以後、JRは各路線の営業係数を公表しなくなった。このため赤字路線の議論は、‘‘赤字だから廃止するしかない”という一刀両断な考えか、あるいは“廃止されると寂しい”といった感傷論のいずれかに終始しがち。多くの人が問題を共有し、考えていくうえで、客観的な指標が必要だと考えた」と、
鉄道誌のインタビューに答えています。
毎月、「
鉄道ピクトリアル」や「
鉄道ファン」などの鉄道誌を欠かさず購読しているそこの貴方!
今月はその予算を、本誌に回してみませんか?大型書店では、まだ在庫があります。