タイトルは、「燃ゆる火も取りて包みて袋には入るといはずや あはなくもあやし」と言う持統天皇の歌に依っています。
作者は、その解釈を「愛する人の魂を袋に入れて持っているから、もう二度と逢うことがなくてもいい」と、主人公に語らせています。
物語は、この「待つ」と言うことをテーマに、天武・持統の例と戦時中の悲恋の例、そして現代の香乃と篤史の例を多層的に語ってゆきます。
最初の持統天皇は、すでに死した天武天皇の魂を「待つ」訳です。
戦時下の若者は、会えぬ状況下であくまで「待つ」訳です。
そして、現代の香乃は・・・。
消息不明の恋人を探して彼の故郷に降り立った香乃は、その実家で彼がすでに死んでいることを知ります。
その後、恋人の友だちとの関係が進み、彼の遺品を返しに実家に行くと、そこに待っていたのは、インドネシアから届いた彼女のための花嫁衣裳でした。
このことが、持統天皇の歌と絡んで「待つ」べきと語っているのかと、彼女を悩ませます。
彼女の判断は、花嫁衣裳を燃やすことでした。
小説の進行は謎を含んだ展開で、なかなか楽しく一気に読むことが出来ました。
河瀬直美監督の映画も非常に楽しみになりました。