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逝かない身体―ALS的日常を生きる (シリーズケアをひらく)
 
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逝かない身体―ALS的日常を生きる (シリーズケアをひらく) [単行本]

川口 有美子
5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

商品の説明

第41回(2010年) 大宅壮一ノンフィクション賞受賞

内容紹介

究極の身体ケア

言葉と動きを封じられたALS患者の意思は、身体から探るしかない。
ロックトインシンドロームを経て亡くなった著者の母を支えたのは、
「同情より人工呼吸器」「傾聴より身体の微調整」という即物的な身体ケアだった。
かつてない微細なレンズでケアの世界を写し取った著者は、重力に抗して生き続けた母の
「植物的な生」を身体ごと肯定する。

登録情報

  • 単行本: 276ページ
  • 出版社: 医学書院 (2009/12/1)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4260010034
  • ISBN-13: 978-4260010030
  • 発売日: 2009/12/1
  • 商品の寸法: 20.8 x 15 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
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58 人中、54人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
私は、2年前から、著者のお母様と同じALSの父を在宅介護しています。
父の症状が進行し、意思疎通の手段だった眼球までが徐々に動かなくなっていくなかで、
私は、父がもしかしたら、早く逝きたいと思っているんじゃないかと思い悩む毎日でした。
でも、この本を読んでいくなかで、そんな思いはどんどん払拭されていきました。
意思表示ができなくても、父の身体は、顔色や汗や脈拍などでしっかりと伝えてくれる。
そんな声にならない父の本音を毎日聞いている私たちは、父の手足となって、
できるだけのことをしていくだけでいい。
特に「あとがき」のなかの最後の一文に、私は本当に救われました。

現在、「尊厳死」を認めるべきとの声が大きくなっている気がします。
でもまずは、こんな形の「生」もあるということを、きちんと知ってほしい。
そういう意味で、患者や家族、医療関係者だけでなく、広く一般の方々にも
読んでほしい本です。
こういう問題が、いつ、自分や家族のこととしてつきつけられるかわからないのですから・・・。
このレビューは参考になりましたか?
47 人中、41人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By leiko
形式:単行本
 ほかの方も書いていらっしゃるように、“闘病記”と呼んでしまうことには躊躇を覚えます。単なる“介護記録”でもありません。著者は、ALSという難病を生きる母を見つめ、その母を介護する自分を見つめつつ、家族介護の閉じた関係性にこもってはいませんでした。またこの本は、「ALSという特殊な病気のお話」でもありません。人間なら誰でも病気にかかるという点で、誰にでも通じるテーマだと思います。

 学問で言うなら、社会学、倫理学、看護学、政治学……いろんな分野へのヒントが詰まっていました。この物語が、いわゆる論文ではなく、文学として提示されたのは、必然であったと考えます。病いをめぐる人間の営みをくまなく記述し伝えたいと思えば、ものさし一つではとうてい足りないからです。

 たとえば、母上の病気が進行し眼球の動きもとまってまったくコミュニケーションがとれない状態になったときに著者はこう書いています。
「想像には限界があった。だから母のために私に何かができるのだとしたら、それはありのままの母を認めて危害を及ぼすようなことは一切しないことだ。」(p.199)
 人工呼吸器を止めれば母は楽になれるのではないか、という考えを反芻した末に、著者がたどりついた結論でした。「家族の代理意思決定」だの「慈悲殺の是非」だのといった聞き覚えのある言葉では語り得ないことだと感じました。

 言語的なコミュニケーションがとれなくなってからも、母上がその身体でさまざまなことを伝えてきた様子もつぶさに書かれていました。身体からなにを読み取りどう応えるかは、ひとえにケアにあたる側の感受性にかかっています。押さえた筆致からは、著者が意図するのは読み手を感動させることではなくて、人間の生がはらむ可能性を見逃さないでほしい、大切にしてほしい、という気持ちなのだとわかるのですが、やはり体験から紡ぎ出された言葉には、人の心を動かすしずかな迫力があります。

 これからわたしは折々にこの本を読み返すことになると思います。そして、読むたびに新しい発見をしていくことになるだろうと思います。
このレビューは参考になりましたか?
31 人中、26人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By M子
形式:単行本
人間誰しも大なり小なり悩みがあるだろう。だが、もし自分の悩みとこの本の著者が置かれた状況のどちらか1つを選べと言われたら、後者を選ぶ人は一体何人いるだろうか。

最愛の母を襲ったALSは情け容赦なく進行し、わずか2年で瞼の開閉もままならぬ全身麻痺の状態へ。
在宅介護の過酷さは想像に余りある。疲れ果て、悲しみに打ちひしがれても立ち止まっている暇はない。
本書は十数年に及ぶこうした介護の体験記だが、そこに綴られているのは息詰まるような苦難の日々の単調な羅列ではない。 これは、病が次々と繰り出す障害に創意工夫で応戦し、絶望的な状況の中に喜びと希望を見出してゆく筆者の心の軌跡を記した本だ。

どうすれば重病の親を自宅でケアし、看取ることができるか。ここにはそのヒントが沢山つまっている。
重いテーマを扱いながら、その筆致は軽妙で、ときにユーモアさえ感じさせる。悲壮感がない。最愛の母を最期まで全力で介護したという誇りと充足感が生み出した余裕であろう。 一点の悔いも残さず親を看取った者の揺ぎない自信に裏打ちされ、本書の読後感はさわやかだ。

筆者はまた様々な社会問題も浮き彫りにしてみせる。介護制度の不備、難病患者に対する世間の無理解と研究の遅れ、そして、充分な議論を尽くさず安易に「安楽死」を法制化することの危険性。
繊細な花のように大切にされていた母は、幸福感に満たされてそっと家族を見守っていてくれた---- こうした筆者の実感が、「慈悲死」という甘美な響きの誘惑に警鐘を打ち鳴らす。

介護や医療に携わる人々だけでなく、命あるすべての人に多くの示唆を与え、静かな感動の余韻を残す
出色のノンフィクションだ。
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