円高が進行している。
政府日銀は大規模介入をしたものの、国際的には批判にさらされている。
一方で、ドル安、ユーロ安が進み、近隣窮乏化政策の再来だとも言われている。
本書は、ドル、ユーロ、円、そして人民元にいたる主要通貨について、それぞれの由来と展望をコンパクトにまとめている。
加えて、ギリシャ危機など最近の出来事にも分析が加えられている上、グローバルインバランスやプルーデンス政策といった最近よく耳にする概念にも触れていて、よくできた入門書となっている。
本書から読み解けるのは、ドルは地位低下してはいるもののこれに代わる手段はないため基軸通貨としての地位はしばらくは揺るがない。
一方、ユーロは、ギリシャ危機に代表されるように、国際金融のトリレンマという不安定さを内包しており先行きを疑問視している。
さらに、人民元については、中国当局の厳格な管理によって、国際通貨としての役割はまったく果たしていない。
そして、最近話題のSDRについても、ドルに代わる手段とはなっていないしなり得ない。
というのが、本書の主張のように思える。
ただ、膨大な貿易赤字をたれ流し続けるアメリカと、外貨準備を貯め込む輸出依存型の日本と中国の間のグロ−バルインバランスが持続不可能な水準に達しつつある今、どこかでこの複雑な方程式を解いて行かなければならない。
深く考えさせられる読み物となっている。