通訳という営みはおよそ有史以来続けられていると言ってよいが、個人の経験や技術、勘、職人芸といったレベルにとどまる傾向が強かった。しかし近年では体系化、理論化してその目的やノウハウを共有、発展させようとする万人に開かれた「通訳学」の試みが進められている。本書はその包括的な理論書の待望の日本語訳であるる。
通訳の様々な形態、理論、モデルを網羅し、要点を示したもので、かゆいところまで手が届く構成である。訳もこなれれており、注意を要する点は特に念入りな注が与えられている。ここまで詳細な研究が進んでいたとは、恥ずかしながら存じ上げず、目が開かれる思いである。
今後は日本という特殊文化社会的コンテクストに応じた日本ならではの研究書が登場することを切に望む。