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ようは、妹を愛してしまう近親相姦モノなのだが、それよりは、友人が自殺してしまう部分や、強い厭世観が、佐藤亜有子さんの『ボディレンタル』(これも新人賞だったな)や古くは夏目漱石や田山花袋を思い出させる。それも決まって、小説の中では自死の理由がわからない。でも、自明なんだけどねぇ。自分のプライドと世界への距離のバランスのとり方が、狂っているからなんだよね。そして、現在の教育制度は、そういう人種を継続的に作り出すようになっているし、それがうまく機能した部分があってこそ経済成長もあったわけだし。この厭世観は、日本社会エリートへの登竜門なのだと思う。と同時に、そういった連中がいかに、心が病んでいるかの象徴でもあるねぇ。日本近代100年の文学的伝統という感じがする。こういうエリート予備軍が、自殺、熱狂的な軍国主義、共産主義運動、新興宗教に走っていくさまは、容易に想像できるなぁ。う~暗い暗い。
作品としては、評価がし難い。たぶん、『ボディレンタル』も同様だけど、これは彼らの学生生活の雰囲気をそのまま一人称で表現しただけの日記(ある意味、なつかしの「私小説」か!)に過ぎないので、文学的力量を全く評価できないと思う。僕は、まぁ面白かったが、読むのにエンターテイメントを求めるならば、こんなブンガクしているのは、つまらんだろうし。妹に萌えたいなら『週間わたしのおにいちゃん』でフィギュアを購入する方が健全だと思う(笑)。本当の評価ができるのは、新人賞ではなく、その次に出てくる作品だと思うね。
一番印象に残っているのは、神戸にある日用品を扱うメーカーに就職が決まって(神戸にあるトリレタリーメーカーといったらP&Gしかありえないでしょ)、将来はヨーロッパに転勤するつもりだということ。この関係も、ヨーロッパかアメリカなら難しくなく継続できそうだし、妙にリアリティを感じた。
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