いよいよ主人公たちの映画作りがスタートする。エンタメ事業部の藤森、映画監督の筒見、配給会社の矢沢が加わって、映画の企画が立ち上がって行く。映画作りをテーマにした映画やドラマや漫画作品は多いのだが、プロデューサーの視点で映画作りを取り上げたものは少ない。「透明アクセル」の面白さは、映画製作現場に直接タッチしないエグゼクティブ・プロデューサーの視点で映画作りを開設してみせることにある。映画業界でどのようにお金が動いているのか、映画監督の収入はどこで得られるのかなど、具体的な数字を出しながら解説して行く部分は面白い。
僕はこの作品を「プロデューサー視点の映画作り」を描いた作品として評価しているのだが、そうした視点を外してしまうと、この巻からやや構成に問題が生じてくる。この作品は広告代理店の新人社員である青木哲也が仕事を通して成長して行く姿と、女子フィギュア選手だった山田麻美が競艇選手として成長して行く姿を同時進行で描いている。しかし山田が競艇学校に入学して青木と連絡が途絶えてしまうことで、物語が2系統に分裂してしまうのだ。雑誌掲載時にも感じたことだが、山田のエピソードは影が薄くなり、青木の成長物語の付録のような形になってしまう。
こうした物語世界の分裂を、著者がどこでどう回収しようとしていたのかはわからない。しかし物語の分裂が作品の力を弱くし、その後も連載終了までちぐはぐな形のままで進行してしまったのは確かだと思う。競艇学校で奮闘する山田の物語が薄くなることで、青木たちが作ろうとしている競艇学校の映画も内容がイメージしにくいものになる。この作品が面白くなってくるのがこの2巻であり、この作品の弱点が露呈してしまうのもこの2巻なのだ。