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透光の樹 (文春文庫)
 
 

透光の樹 (文春文庫) [文庫]

高樹 のぶ子
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

商品の説明

第35回(1999年) 谷崎潤一郎賞受賞

出版社/著者からの内容紹介

汲めども尽きぬ恋心。透明な恋が中年男女に訪れるとき……
25年ぶりに再会した中年の男女の激しく一途に燃える愛。すべての現実感が消えるほどの〈結晶のような〉物語。谷崎潤一郎受賞作

登録情報

  • 文庫: 251ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2002/05)
  • ISBN-10: 4167373130
  • ISBN-13: 978-4167373139
  • 発売日: 2002/05
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 89,471位 (本のベストセラーを見る)
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9 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 人は性愛に何を求めるか?最初は単純に性的な欲望、次いで若かりし頃の純真や情熱を取り戻したいという欲望、そして自分の存在を相手に埋め込みたいという欲望... この性愛に対する欲望の深化は、人の持つ性(さが)そのものである。そして、この小説は、そうした人の性(さが)を克明に描いている。

 もうひとつ、この小説が丹念に描いているのは、男女関係の妙である。こんなことを言えば(すれば)相手はこう思うだろうな、と思いつつ、違うこと、正反対のことを言って(やって)しまう。ところが、そうして言った(やった)ことを、相手はまた別の形に誤解して受け止めてしまう... そんな男女関係の機微を、メタレベルの小説視点で描写していて秀逸。

 こうした男女の関係論をクリアに描き切るために、著者は前半では「金銭契約」、後半では「死」という道具立てを用いるのだが、これがまたうまく機能している。で、著者が男女関係の真髄、恋愛の究極として掲げるのが“欠落感”ってワード。「その人がいない状態、いなくなった状態の、どうしようもない欠落感。僕の考える恋愛には、それが在る。恋愛でないものには、それが無い」。やっぱ、自分が気持ち良くなりたいってのより、相手を気持ちよくさせたい、相手の記憶に己を刻み込みたいって欲望に性愛が至るのって、結局はそういうことなんだな、と納得できる。つまりは、相手に自分を“欠けたものの存在感”として認識させるってこと。この小説はさらに、その刻み方、埋め込み方も、正常位のように相対するのではなく包み込むように重なった形と、具体的な体位によってその一体感のイメージを提示している。

 究極の恋愛小説ではあるけど、あまり恋愛を身近に感じられない者にとっては、いまひとつのめりこめないというか、主人公2人に置いてかれっぱなし、って感もある。恋愛を求めている人、恋愛の渦中にある人には文句無くお勧め!
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10 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 赤坂の喧騒の中にいる業界人 郷が、25年ぶりに訪れた北陸で出会った、千桐(ちぎり)。”恋心、と呼ぶより下心にしてしまった方が気が楽だ”とうそぶいてみる。でも、”自分がまだこういう妙な感覚に揺さぶられることが可能なのだと、驚く。下半身の単純な欲望ではなく、体のもっと上の方、胸のあたりから、切なくうずきながら下半身に訴えかけてくる感覚”を覚えながら恋に落ちていく。そして相手を包み込むような体制での交わりに、安らぎと興奮を覚えていく。そうして、一人は朽ち、一人は心に恋を秘めたまま、ゆっくりと歳を経て行き、そのドラマは胸に秘められる・・・・。そんな情景が、丁寧に丁寧にキャンパスに色を重ねるように塗りこめられて行き、読み進むと豊穣な吟醸酒を口に含んだ時のように、口に芳香が広がる。こういう丁寧な叙事詩は、女性の作家の方が味わいがある。 私は、ナットキングコールの”キサス・キサス・キサス”の懐かしい声を聞きながら、東京と北国の恋に想いを馳せ、文章を味わった。
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5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ringmoo トップ500レビュアー
形式:文庫
女性の情念を見事に表現している作品で、大人のある意味「純愛」小説と言えるかも知れません。

物語の中で「「恋愛」とはなにか?」を二人が議論する場面が出てきますが、最後に登場する娘眉の結婚生活と対比すると作者の考えている答が見えるような気がします。

物語の舞台になっているのは鶴来(剣)という北陸の町で、終盤に出てくる富来(研ぎ)の町と合わせて、刀鍛冶の500年の歴史と主人公たちの2年2ヶ月の恋物語が重ねあわされているように思います。小道具として登場する刀子に象徴されるように、二人が「愛」を研ぎ澄ましてゆく過程が見事に表現されていると思います。

この小説も素晴らしいのですが、映画のほうもかなりなものでした。原作に忠実なだけでなく、見事に行間を表現している素晴らしい脚本だったと思います。
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