本シリーズも17巻。ファーンのはしくれとして、歴史への新鮮な「驚き」を本書や他の井沢氏の著作から数多示されてきた者の一人として、本書は見逃せないものであり、購入。
本書の題材は、
・これまで小生もほとんど知らなかったアイヌ民族の歴史
・「現人神思想創作の巨人」、本居宣長と平田篤胤の国学の内容とその思想の成り行き
・幕末へと繋がる日本外交の経緯と実像
これらの井沢氏によるスケッチと考察である。
半日で素読完了。本巻でも氏の非凡な洞察と軽快かつ鋭い論理とが展開されており、日本史の「山場」、幕末に向けて鋭さと冴えを増している、というのが全体的な感想。
・アイヌ史は「知らなかった」のでとても勉強になった。日本史を考える上でアイヌ史を抜きにしては考えられないということを教えてもらった。その上で維新後の同和政策と分離・差別政策とを比較・考察し、単純な善悪では測りえない、両者の「功罪」について、多角的な視点から、ヒジョーに興味深い分析を示す。ヒジョーに面白かった。
・本居宣長・平田篤胤の国学の展開のスケッチと分析も、いわゆる宗教的観点を加味してとても説得力に富んだ展開。この点は歴史を通じて「日本人とは何か」という、このシリーズが問うてきた根本的な問題・謎に大きく関わるところであり、一般的にはタブー視されていて知られていない事実を掘り起こし、そこに論理の光を当てる。氏の仕事には脱帽する。
・そして幕末の日本外交。この項は著者が以前「攘夷と護憲」で一度分析を行いその結果を世に問うたところでもあり、今日の日本にも共通する日本外交・安全保障の致命的欠陥を証明する形で展開。正に筆は「冴え、踊」っている。
井沢氏に抽象的なレッテルを貼り付けて黙殺しようとする人々がいるのは知っていたが、未だにその影響を受けて氏の言説に拒否反応を示す若者が少なくないと聞く。
別に氏の考え方に無条件に賛同する必要は全くない。反対しても全くOK。ただ、拒否してしまえば情報が遮断されるという損が生じるだけである。読んだ上で賛否その他をご自身の頭で考えてみてはいかがであろうか。
この春お勧めの一書です。みなさんどうぞ!!