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19 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
暗君と名君をわけるもの,
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レビュー対象商品: 逆説の日本史〈15〉近世改革編―官僚政治と吉宗の謎 (単行本)
シリーズ15巻は、吉宗とその経済政策についてです。吉宗と言えば、「暴れん坊将軍」(もちろんフィクションですが)で有名ですが、世間の相場はどちらかと言えば、「名君」に偏っていると思います。もちろん、彼が暗君であったとは言えませんが、こと経済政策については、「素人以下」であり、そこで同じ徳川家の中で、「政争」とも言える争いがあったことなどは、歴史の教科書に載っていません。そしてその経済音痴となった根本的原因に、「儒教」の教えがあることが論理的に解説されています。「儒教」にここまで負の側面があったことなど、学校では教えないはずですが、このような宗教問題を理解出来ないと、現在の政治・経済の諸問題を正しく理解出来ない事が本シリーズでは繰り返し力説されていますが、それをここまで綺麗に解説出来るのは著者だけと言っても良いのかも知れません。
5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
儒教朱子学が“名君吉宗”“拝金主義者、意次”の迷信を生んだ?,
By 平成の愚禿 (神奈川県横浜市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 逆説の日本史〈15〉近世改革編―官僚政治と吉宗の謎 (単行本)
井沢元彦氏による宗教的側面を下敷きにした歴史考証へのアプローチにはいつもながら感服させられる。宗教社会学者:マックス・ウェバーは「宗教」をエトス(行動様式)と定義する。 エトスは、人々が良くも悪くも、また意識的・あるいは無意識的に行動し、思考する(してしまう)理由。言い換えれば明文の規範あるいは不文律を指すという。 この意味での「宗教」から、人間は自由ではあり得ない。人間は誰でも特定の時代、特定の社会の中で成長しつつ、その中で人格が形成されるのであり、良くも悪くも思考・行動が特定のエトスに収束される。その意味で、何人も「時代の子」であろう。 そして本書で扱われる江戸時代である。儒教朱子学が幕府によって官学とされた時代である。そしてその宗教は厳格で現代から見れば不合理と言える差別の秩序を生み出している。“農”が尊ばれ、“商”が卑しいものとして扱われる。 こういった時代では基本通貨が“米”ではなく“貨幣”であるという実情は容易には受け入れられがたいであろう。“貨幣”は所詮“商”の産物であり“卑しい”という潜在意識が抜きがたく働くからである。まして“商”を刺激して市場を活性化しようという“経済・景気対策”などもっても他という呪縛が働いても不思議ではない。 吉宗、定信もこの点で例外ではない。このことは朱子学が官学とされる以前には、こういった呪縛が存在しなかったことからも裏打ちされるであろう。信長や秀吉は楽市・楽座政策などによって積極的に景気対策を推進している。彼らからはこのような呪縛は感じられない。信長の旗印は確か永楽銭だったと思う。 本書は、徳川吉宗が所詮は「時代の子」という拘束から自由ではあり得ず、また松平定信に至っては朱子学原理主義者であったという事実を鋭く指摘する。吉宗に開明的な部分があったにせよ、尊い米の増産政策にひたすら固執し、米の生産過多で“米安の諸色高”という状況を呈し、農民、武士の生活が益々ひっ迫していく皮肉的なバットサイクルを解明する。 政治・経済は“結果責任”の世界だから、著者のいうように吉宗、定信を“少なくとも経済面ではバカ殿”と評価するのも一意見あろう。彼らの政権を引き継ぎ、物価を幕府の命令で統制しようと試みて当然大失敗・失脚した水野忠邦も同様であろう。惜しむらくはこれらの為政者がせめて需要・供給曲線を理屈として気づいていれば・・・である。 他方、尾張藩主の徳川宗春、田沼意次がやろうとしたのは“商”による消費・投資(=GNP)の拡大を意図した構造改革であったと思われる。ただ宗春は改革を恒常化させる術を知らなかったが故に失敗し、意次は定信等の儒教原理主義者の嫉妬・反発にあって志半ばで改革が挫折した事実が本書で詳説されている。 問題は、儒教朱子学というエトスによって“眩まされる”形で出来上がった当時の彼らへの評価に、現代人も少なからず眩まされ続けていることであろう。 本書の主題はこの錯覚を分析することにあると思う。歴史は総合科学である、を持論とする井沢氏の叡智が、解りやすい文体・構成で存分に発揮されており、経済・宗教音痴の私でもすらすら読めた。 お勧めである。
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
名君の評価,
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レビュー対象商品: 逆説の日本史〈15〉近世改革編―官僚政治と吉宗の謎 (単行本)
徳川吉宗は名君ではなく、経済音痴という側面もあることを指摘している。人物の評価は、評価側の時代背景に影響されると思うが、 こういう視点で再検証していくことは単純におもしろいと感じました。 この方の著書は、たまに説明がくどくなり、ある読み難さを感じさせることがありますが、 本書は非常に整理されていて、サクサク読めました。
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