当たり前の話だが、今時の漫画ではない。
主人公を筆頭に胡散臭さと暑苦しさをかねそろえた登場人物たち。
ヒロインらしきキャラクターもいるにはいるが、主張は控えめである。
絵も荒っぽいし、展開が強引な箇所も少なくない。
だが、だったらこれはなんだろう。
読んでいる時、そして読後にあふれてくるこの感情はなんだろう。
かつて確かに自分の中にあったが、年を重ねるごとに忘れてきた感情。
例えばそれは情熱であったり自信であるかもしれない。
本書は野球漫画ではない。野球漫画のなりをした教科書である。
しかし、決して万人向けではない。
肌に合わなければ即座に棚に戻されるだろうし、波長が合えば呼吸すら忘れて読みふけてしまう。そういう類いのものだ。
うんざりするほど辛い過去を背負った主人公、死ぬためだけに存在するようなヒロイン。
昼ドラが裸足で逃げ出すほどドロドロした恋愛劇を繰り広げる中高生の少女たち。
そんな漫画が氾濫する現代に、本書は蘇るべくして蘇った。