内容紹介
「忌まわしい偽善の律法学者、ファリサイ人たち! このマムシのすえどもめ!!」アルゼンチン軍事独裁政権下で警察権力の暴虐と教会の硬直化を激しく批判して発禁処分、しかしスペインでラテンアメリカ出身作家として初めてプラネータ賞を受賞。欧州・南米を震撼させた、アルゼンチン現代文学の巨人マルコス・アギニスのデビュー作にして最大のベストセラー、待望の邦訳! トーレスはひと呼吸置いた。その口元にシニカルな笑みが浮かんでいる。 「神はひとり子をどんな家に誕生させましたか? 名門の人間とばかり交流し、金のかかるスポーツを楽しみ、毎晩のように夜会を催し、金の馬車で会堂に乗りつけ、召使に至れり尽くせり面倒を見てもらうような家ですか? 成長したら成長したで、上流階級の教養豊かな人たちばかりとつき合うようになる家だったでしょうか?」 神父の問いかけに、思わず感嘆の声を漏らしてしまった。 「キリストは弟子たちをいかに扱いましたか? 高官用のシルクの紫衣で着飾らせ、威厳を添えるべくサファイアの指輪を与えたでしょうか? エルサレムにはどのように入城しましたか? じゅうたんが敷き詰められ、護衛に囲まれた通りを、輿に乗って行進したでしょうか? 自分の死を予期していたイエスは、前もってどんな指示を出しましたか? わざわざ豪奢な霊廟を用意し、盛大な葬儀をするよう命じたでしょうか?」 会衆のほとんどが神父の話に心酔し、啓示でも受けたように喜びにきらめいていた。 「そんなキリストであったなら」神父は続ける。「悪趣味極まりない。しかし、何世紀ものあいだ、キリスト教徒が模倣してきたのはそんなキリスト像でした。まるで、キリストが非難していたファリサイ派を地で行くような生き方しかしてきませんでした」(本書より)
内容(「BOOK」データベースより)
アルゼンチン軍事独裁政権下で警察権力の暴虐と教会の硬直化を激しく批判して発禁処分、しかしスペインでラテンアメリカ出身作家として初めてプラネータ賞を受賞。欧州・南米を震撼させた、アルゼンチン現代文学の巨人マルコス・アギニスのデビュー作にして最大のベストセラー、待望の邦訳。