舞城王太郎を読まれた方であれば、文体が似ているといえば雰囲気はわかっていただけるかと思う。インテリジェントで極悪。そして逃亡作法においては舞城以上にHIPHOPな雰囲気も持っている。昔風に言えば、ピカレスク小説というのであろうか。ショートカットで無法な人生の一部を国家権力でむりやり刑務所で過ごさなければならなくなったやつらが、復讐を目的にした刑務所ジャックの連中のスキをみて脱獄するというお話。変わっているのは、時代が近未来であるということ。といっても近未来である必要性はストーリー上どこにもないのだけれど、唯一アイ・ポッパーといって、国家権力が電波で囚人の体に埋め込まれたチップをアクティベイトすることで目玉を破裂させるという制度が実行されているということが逃亡連中の悩みとなっている。
クールで極悪な連中に感情移入でき、そして流れる旋律に身をゆだねることのできる人であれば、この本はとても面白くよめるはず。でも僕のように完全にそうなりきれない人には、意外とストーリーのテンポのなさと根本的な組み立てのイージーさにあきてしまうだろう。
いずれにせよ、注目すべき新人であることには間違いないのだろう。
僕以外の書評も読んでいただいて購入を検討していただきたい。