精神病院から逃げ出してきたふたりの男女が繰り広げる、幻想的なロードムーヴィー。ホンそのものは、ふたりが逃げているのに誰も追いかける気配がないとか(笑)、奇想天外というか、まあ変わった作品ではある。本作の魅力は、やはり主演のふたりに尽きるだろう。美波の不安定な表情と演技は、純粋に「凄いなあ」と思うし、吉沢悠はさすがに邦画メジャー俳優だけあり、抜群の安定感で映画を引っ張る。恋愛映画でもあるのだが、全くそれらしいシーンがない(誘惑はあるけど)のもなんか微笑ましい。ワーナーブラザーズ日本は何を持って本作を見出したのかは定かではないが、本当にBの匂い満載の作品で、これはこれでいいかな、と楽しく観れる佳作となっている。ただし、予算的な問題はあろうが、撮影が「綺麗」ではないのが残念。せっかくの海や青空がほとんど活かされていないのだ。例えばこういうBノリの作品も大好きだった篠田昇が本作を手がけたら、本当に凄い絵を作ったのではないか。俳優も大事だが、背景も大きな要素を持つので、ここはもう少ししっかりと撮ってほしかった。ちょっと毛色は違うけれど「クワイエットルームへようこそ」が気に入った人は、本作も気に入るかな、という感じ。ジャケットから明るめの内容を期待すると裏切られるので、沈んでいるときに観るのはお勧めしません(笑)。