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逃亡〈上〉 (新潮文庫)
 
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逃亡〈上〉 (新潮文庫) (文庫)

by 帚木 蓬生 (著)
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Product Description

内容(「BOOK」データベースより)

1945年8月15日、日本敗戦。国内外の日本人全ての運命が大きく変わろうとしていた―。香港で諜報活動に従事していた憲兵隊の守田軍曹は、戦後次第に反日感情を増す香港に身の危険を感じ、離隊を決意する。本名も身分も隠し、憲兵狩りに怯えつつ、命からがらの帰国。しかし彼を待っていたのは「戦犯」の烙印だった…。「国家と個人」を問う日本人必読の2000枚。柴田錬三郎賞受賞。

Product Details

  • 文庫: 623 pages
  • Publisher: 新潮社 (2000/07)
  • ISBN-10: 4101288119
  • ISBN-13: 978-4101288116
  • Release Date: 2000/07
  • Product Dimensions: 5.9 x 4.2 x 0.9 inches
  • Average Customer Review: 4.5 out of 5 stars  See all reviews (10 customer reviews)
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5.0 out of 5 stars 国家・戦争・個人, 2006/4/20
By マクシ (東京都中野区) - See all my reviews
友人から「君は国を愛していないの?」と尋ねられたことがある。私は「なら国は君を愛してくれているの?」と言下に尋ね返した。友人は黙っていた。

本書の主人公は逃亡を余儀なくされた戦犯である。彼は国家のために身を賭して働き、人倫に悖る行為をもあえて引き受けた。
その見返りが国家による裏切りだ。
辛うじて命をつなぎ戦地から家族の下に帰還し、ようやく安息が得られると思った。しかし突如として今度は国家から追い詰められていく。
「愛国心」「国のため」を称揚していたのは誰だったか。
国家の欺瞞に滅茶苦茶にされた個人の人生は一体何によって贖われるのか。主人公やその家族、逃げ回る戦犯たち。本書に登場するのはいずれも国家そして戦争にたった一つしかない自分の人生を蹂躙された者ばかりである。

どうして人間がここまで理不尽に翻弄されなければならなかったのか。
幸福な時代に生まれた私の生活の背後には、自らの力を大きく超えた暴力に常に怯えていなければならなかった人々の苦悩があった。
そのことを強く胸に留めておかなければならないと思った。

読むことがこれほどつらくなる小説はなかった。
しかし、なんとしても読まなければならないとこれほど強く思った小説もなかった。
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5 of 6 people found the following review helpful:
4.0 out of 5 stars 多面的な読み方のできる傑作, 2004/11/27
主人公守田征二は敗戦の時、中国大陸で憲兵をしていた。一夜にして立場が変わり、身の危険を感じた守田は同僚の誘いに応じて離隊し、変名で民間人として収容所に潜り込む。憲兵の身分がばれるのに怯えながらようやく日本に帰り着き、家族と再会したものの、戦犯追及の手は国内にも及んでいた…。
フィクションではあるが、十分な取材に基づいて詳細に描き上げられる戦時下から終戦直後にかけての意識と生活が興味深い。自らが加害者でもあった憲兵を取り上げながら、家族を愛し追求に怯える、感情移入できる主人公として据えることで、過去の一方的な断罪や被害者面といったありがちで皮相な描き方からは無縁となった。
元上司である曹長の戦後の天皇批判にはやや鼻白むが、戦勝国がレッテルを貼った戦犯とは何だったのか、ということを考えさせられる。追われる者を描くエンターテインメントとしても上質であり、苦難に堪える家族の描写は泣かせる。多面的な読み方ができ、それぞれの点でレベルの高い傑作であった。
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6 of 8 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars とにかく絶賛させて欲しい!!一人でも多くの日本人が、読まねばならない反戦小説。, 2002/7/16
この作品を書く為に作者は作家になったとのコメントをどこかで見て以来、この本の発売を心待ちにしていました。(単行本で既に読みました。)
作者の構成力の素晴らしさ、根底に流れるヒューマニズムは他の作品に変わらぬ独自の魅力です。

しかし、本作品の特色は何といっても、通常わたしたちが持っていた「憲兵」という「悪役」の側から戦争の不条理と、敗戦国日本の取った、「自国の戦争犯罪人に対する取り扱い」という、ほとんど知られていない事実を私たちの目の前に見せてくれた事にあると思います。

戦争という非常時に行われた行為を犯罪と呼べるのか、また、それらを裁くという事ができるのか。
ルーマニアの最高権力者でさえ、非常時の行為を無実と訴えて裁判に抗している現在、何の抵抗もできずに罪を着せられ、死刑になった人々の数を考えれば余りの不条理を感じます。

最近、売れているらしいドイツ人の作家シュリンクの「朗読者」にも通ずるところが有り、併読もお勧めします。

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