書店でタイトルに惹かれて手を取りました。
私が日々なんとなく感じていた事が上手に言語化されていて、
一人心の中で「そうそう、そうですよね」などとつぶやきました。
17個のエッセイで成り立っている本です。
メンズジョーカーで連載していた16個と、
NYタイムズへ寄稿を機に加筆された1個。
とても月並みですが、どれも面白かった。
読者に向けて説教をしているわけではなく、
現実や事実をうまく言い当てていると感じました。
まあ、それは私の主観ですが。
あとは当然ですが文章がうまいので、
読み心地がいい。
例えば、
「戦後の焼け跡から脱したいという欲望など長続きするわけがないし、
飢えから脱したいという欲望は素朴なもので、
実際に飢えから脱してしまうと消滅してしまう。
だから今、欲望は退化してしまっているのだ。
単にそれだけの話で、
若者たちがだらしないわけでも無能なわけでもない。」
などです。
11番目のエッセイ【寂しい勝ち組】は、
他の人の新書でも最近多く触れられている指摘が、
著者自身の体験に基づいて書かれている代表格と思いました。
おそらく30代半ばで、きちんとしたスーツを着ており、
おそらく一流といわれる大企業の中堅社員と思われる人間の、
異常なまでの謙虚さのなさに、
著者が最低だと思った出来事が書かれています。
内容には私自身も激しく共感しました。
そして読み終えて、まさにタイトル通りだなって思いました。
和食屋さんでの彼らに限った話でなく、
スーパーや電車内での、
どこにでもいる彼らと同じだなーって。
やはり、余裕がないのだと思いました。
まさに『逃げる中高年、欲望のない若者たち』なんだろうなって。
文章量は決して多くないですから、
速い人なら一時間くらいで全てが読めてしまうかもしれません。
エッセイはより好みの分かれる分野と思いますので、
できれば立ち読みで2つ、3つ内容を確認してからの購入をオススメします。
サッカーの話しも少しあるので、
カンブリア宮殿での岡田武史さんとの対談を見た人は、
テレビと本との関連を楽しむ方法もあるかと思います。
個人的には満足の★5つですが、
友達にはすすめないと思うので、
僭越ながら★を一つ減らさせていただきました。