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退屈論 (河出文庫)
 
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退屈論 (河出文庫) [文庫]

小谷野 敦
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

脳が進化したとき、人類は「退屈」に目覚めた。そして、孤独や不安などの悩みもまた生まれた。子育てやセックスも退屈しのぎにすぎない―壮大な構想のもとに、人類最強の敵「退屈」について考える。本当に恐ろしい退屈は、大人になってから訪れる。人生の意味を見失いかけた者に光を投げかける名著。

内容(「MARC」データベースより)

今、人々は「退屈」をどうしたらいいのか、という問題で途方に暮れている。人類最期・最強の敵、退屈。本当に恐ろしい退屈は、大人になってから訪れるのだ。「もてない男」の著者による「低速度社会のすすめ」。 --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。

登録情報

  • 文庫: 261ページ
  • 出版社: 河出書房新社 (2007/10)
  • ISBN-10: 4309408710
  • ISBN-13: 978-4309408712
  • 発売日: 2007/10
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
 退屈論と銘打つこの本は、りっぱな現代文明論にもなっている。
 豊富な知識を背景にした文章は、軽妙な文体によって読みやすい。
 この本を読むこと自体は、勿論退屈ではない。多くのことを考えさせられる。氏のエッセイ的著作においては毎度のことなのだが、話題が多岐に渡りすぎる嫌いがあり、初めて読む者には多少の混乱を覚えるかもしれない。

 しかし論理ははっきりしている。論旨をたどっていくことは苦にならない。

 この本はいろいろな側面から読むことができる。
 ここでは、最近の学問の潮流やメディアで活躍する学者・評論家たちの、近年の動向を視野に置いた発言に注目しておくことにする。

 具体的には生物学や心理学の動向、個人名では谷沢永一、小林よしのり、福田和也、五木寛之等等である。ここでは後半に注目する。
 

 谷沢永一の文芸評論の優秀さをてっとりばやく知りたい人は、『紙つぶて』を読むといい。その谷沢の近年の迷走ぶりをしっかりと注において批判している。「保守」の悲惨な末路の一例である。小谷野氏は、既に自分を保守主義者と規定している。「保守」に関心がある人は、こうしたところにも注意しておきたい。

 そして若い方。著者は、福田和也、宮台真司の奥には「ニーチェ主義」があることを指摘し、それをうさんくさいものとしてしりぞける。最近のナショナリズムの流行にも「退屈」という問題テーマをかぎとっていると思われる著者の立場がここからもうかがえる。宮台も福田も、若い者に人気があり、どちらもそれぞれの立場で「今、真剣にpえるべきことは何か」を追求しておりその功績は評価されてしかるべきだ。しかし、原理的な「答え」を出してしまっているそのやり方をこの著者はうとましく思っているらしい。それは著者が問題を扱うそのもってまわった「手つき」みたいなものから、十分想像できることだ。
 著者の立場からは、現代において、このような原理的な思考は端的に「危ない」ものとされる(ようだ)。

 また他方では、五木寛之や俗流森田療法のような、安易な現状肯定の思想も拒否する。最後のほうでカール・ポパーの言葉の引用があるところなどは、著者のそうした問題意識からたどり着くところの基本的な態度を明示する。
 原理よりもまず事実につけ。といったことや、社会は変えられるところは変えられる。変える努力をする!といった態度である。

 日本の前近代の歴史にたいする知識の豊富さは、この本の現代文明論としての信用度を増してくれる。たとえば宮台真司はこの歴史的知識に欠けるところがある。

 理性によってまちがったことがでてきてしまったら、理性によって変えていくしかない。社会はいい方向に変えていくべきものである。そしてその際に、人間の「退屈する本能」にたいする考察を深めておくことが必要である。そのことによって、われわれはもっと広い文明的視野を得ることができ、今の社会をもう少しましなものにしていくことができるのではないか。
 大上段に構えて、こういうことを主張しているのではない。
 それとなくそういう思想を提示している。
 ここらへんがなんとなく、この本に「希望」を感じてしまうところなのである。

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22 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
子供に将来の夢は と聞かれたら「職業」を上げますよね。どうして夢が「職業」なのでしょうか?「牡丹の花になりたい」でも「キンパツの外国人」でも「夢」なのだからいいわけなのに。

冒頭から話しがそれましたが、「人生は最大の暇つぶしだ」常々思っているので、30年生きていて、実際働いているというのに、将来の夢がなぜ「職業」になるのかがよく理解できないのです。そんな私にとってこのすばらしい「中庸」論の小谷野敦さんの本書は楽しく読めました。

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24 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By KTH
形式:単行本
小谷野氏の著作のうちで、たぶん最もおもしろく読んだ。さすがに読書術の本を出しただけあって博引旁証の手並みは健在で、サル学から森田療法まで手広くカヴァーしながら「退屈」について論じてゆく。おそらく体系的な「退屈論」は、この本が初めて言及したものではないかとおもう。

結論部では、『スロー・イズ・ビューティフル』のような、いわば「低速度社会」にも行き着くわけだが、しかし「退屈」をキーワードに文明を読み解いてゆく過程にはむしろスリルさえ感じられ、知的好奇心を満たしてくれる本に仕上がっている。

ところで余談であるが、わたしは「正しい日本語」―よしそれがいくらか欺瞞的な響きをもっているものだとしても―に興味を抱いており、小谷野氏が「支那」(「支那」の語を用いたのは呉智英の影響を受けているのかもしれない)とか「文藝」(「芸」の音は「ウン」。「くさぎる」などの意をもつ。常用漢字「芸」の本字は「藝」。さらにふるい形は「云」を除いたもの)とかの語を用いてくれることにはある種の尊敬すら感じるのであるが、特にこの本では註で『「広辞苑」の嘘』なる駄本(あれはイデオロギー批判の書であって辞書批判の本ではない。辞書批判をしたいなら国広哲弥や石山茂利夫、金武伸弥の本を読むべきである)も叩いてくれており、まさに「痒いところに手の届く」つくりになっている。

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