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迷路のなかで (講談社文芸文庫)
 
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迷路のなかで (講談社文芸文庫) [文庫]

アラン・ロブ=グリエ , 平岡 篤頼
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容説明

小説の約束事を越えたアンチロマンの代表作記憶を半ば失った敗残兵が市街という迷路をさまよう姿を、小説が小説という形に向かって収斂してゆく過程そのものを辿るというアンチロマンの手法で描いた傑作。

内容(「BOOK」データベースより)

おなじ外観の家が続く雪に塗りこめられた街の迷路をさまよう敗残兵の姿と、「ライフェンヘルスの敗戦」と題された絵の場面とが交錯し、物語は複雑な軌跡を描きながら展開回帰をくり返す。兵士は銃撃をうけ、居合わせた医者に介抱されながら死ぬが、意表をつく結末が控えている。執拗なまでに幾何学的な描写によって独特の世界を構築し、ヌーボー・ロマンの旗手となったロブ=グリエの代表作。

登録情報

  • 文庫: 244ページ
  • 出版社: 講談社 (1998/2/10)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4061976028
  • ISBN-13: 978-4061976023
  • 発売日: 1998/2/10
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 63,502位 (本のベストセラーを見る)
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12 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
アンドレ・ブルトンは『シュルレアリスム宣言』のなかでドストエフスキー『罪と罰』から以下の一文を引用し、「あれの虚しさに比べられるものはなにひとつない。カタログ図版の積み重ねにすぎないのだ」と批判しています(岩波文庫p. 14-15)。

青年が通された小部屋は、黄いろい壁紙がはりめぐらされていた。窓辺にはゼラニウムの鉢がいくつかと、モスリンのカーテンがあった。(…)そりかえった背もたせのある長椅子がひとつ、その長椅子とむかいあう楕円形のテーブルがひとつ、窓と窓の間の壁を背にした化粧台と鏡がひとつずつ、他の壁にそって椅子がいくつか(…)、これが調度類のすべてであった。

やや表層的で乱暴な比較になりますが、こうした「カタログ図版」を徹底反復させるとロブ=グリエの叙述になるといえるかもしれません。ここから驚嘆すべき文学が生まれ得るとはシュルレアリスムの旗手も思いもよらなかったでしょう。
あてのない兵士の彷徨、繰り返される街並み、キャッフェ、病院の描写。漸進していく叙述はしかしながら一度出てきた言葉や情景や仕草の組み合わせから成り、その機械的操作はホメーロスの叙事詩に見られる古拙な描写をふと思わせたりもする。ヘレニズム・ローマ時代を通じて多くの詩人たちが才能と努力を傾けてこうした単調さを超克しそれが西洋文学の礎になっている事を考えれば、本作品の持つ新鮮さ美しさはある意味文学の伝統の虚を突くものといえるかもしれません。
叙述の主体である「私」やその対象である「兵士」について、伝統的な小説における「話者」や「報告」といった形に無理に解釈する必要はないと思います。無時間的な叙述はやがて絵画「ライヘンフェルスの敗戦」の細密な描写と重なっていきますが、こうした展開と「私」は安易に関係づけられないからです。あまり先入観を持たずに作品に身を任せて漂ってみるのが、このような文学を楽しむコツだと思います。
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫|Amazonが確認した購入
冒頭からの静謐で緻密な描写で綴られる本作は、タイトルの通りなのだが僕は読みながらどこかへ連れていかれそうな不穏な気持でどんどん作品に引き込まれていった。本当に現実を見失ってしまいそうになるのだ。
「不条理」というキーワードは純文学の解釈に付き纏う悪癖だと僕は思っている。カフカの審判 (岩波文庫)の表紙には「現代人の孤独と不安を〜」といった解説めいたものが書かれているが、そんなものは取っ払ってほしいのが本音だ。俗にいうヌーヴォー・ロマンはアンチ19世紀純文学の潮流として生まれた(らしい)。無論、ロブ=グリエもトルストイやトーマス・マン(一応20世紀)を読んで育ってきたのだろう。だが、現実とは何かという問題はあまりにやっかいな問題であり、既知のものでは輪郭を見失い、混沌に立ち返ってしまう。ドン・デリーロのボディ・アーティスト (ちくま文庫)では、現実を取り戻すために言語化する過程が試みられているが、ロブ=グリエはそれを取り戻さないままに本作を終えている。1950年代に始まったヌーヴォー・ロマンの問題は決して途切れていない。現実とは純文学にとって言葉によって戦う相手であり続けているのだ。余談:著者が絡んだ映画去年マリエンバートで HDニューマスター版 [DVD]はあれはあれで凄かったけれど、ロブ=グリエがやらんとしている事はやはり小説でないと表現しきれないと思う。
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11 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
反復と幻覚 2004/4/18
By A-yuu
形式:文庫
情景を幾何学模様のように描き出し、そのシーンの類似が反復される不思議な叙述。
語られない名前、地名。時間・場所を特定するような固有名詞も出てこない。
細密で単調な描写と連動していく幻覚のようなイメージと不特定性が、
不安定性と基調とする独自な旋律を奏でているユニークな小説。

確かに難解さ、読みづらさはあります。ストーリーらしい展開はごく一部です。
でも小説が好きな方には、この文学的「迷路」に入って独創(独奏)的な世界に浸ってみるのも面白いと思いますよ。

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