IT関連のいろんな技術(認証、C言語、ネットワーク、データベース、Web構造化などなど)やデータマイニ
ングなどに、ドが三重につく素人でも、その秘儀の骨格を了解させてしまう、おそるべき噛み砕き力を示す
著者による最新刊。今度のテーマは迷惑メール。
迷惑メールをめぐる事情(規制の方向性とか)を読み進むうちに、メール送受信の仕組みの概略が飲み
込めるような構成になっているのは他の著作の通り、ではあるけれど・・・
本書は、やや微妙。
いや、著者の苦心はわかります。前提にできる読者の知識レベルが想定し難いので、どこまで(初歩的方
面でも専門的方面でも)書けば良いのか懊悩するのが、この手の技術的なテーマの一般書。
でも、サーバの実験をコマンドプロンプトで示す段など、あからさまな初心者を想定するなら、サーバソフト
のダウンロードから各種設定をしてIPアドレスを確認して・・・って段取りから書かないとわからないのでは?
一方、その辺は了解している読者にしてみれば、本書で説明されるメール送受信の仕組みなんて、あえ
て今更説明されるようなもんでもないでしょうし。
そのうえ、本書のメインである迷惑メール事情も、かんたんなパンフレット程度の内容だし、題名の『迷惑
メールは誰が出す?』ってのはミスリードで、「誰が出す」ではなく、「受け取る側の防衛努力」がメインになっ
ているし。
著者の他の著作と比較すると、正直「う〜ん・・・」ってところ。
ただ、迷惑メールがバックグラウンドで回線への負荷を増加させているから個人的な「迷惑」って話しじゃな
いんだよ、利用する個人が仕組みに参加しているんだよ、ってところは、とても納得。
便利なインフラは、天から降ってくるんじゃなく、開発や実装やそれら業務の法務・財務的基盤に関与した
専門家の具体的な努力に加えて、利用する個々が、そのメンテナンスにも改良にも関わらなきゃいけない
ってことは重要です(この種の「共有地の悲劇」的な理路を理解しないで、抽象的で無内容なイチャモン
を高度な議論だと勘違いする“頭の良い人”が多すぎる印象を持っているので)。
でも、本書は微妙。