現代京都に突如出現した、魔物が徘徊する迷宮。魔物が希少な化学成分を有することが分かったため、そこは自衛隊によって掃討されるべき場所から、一攫千金を夢見る冒険者が集う場所「迷宮街」になった。迷宮街に集い、縛られる冒険者やその関係者の在りようを描いた群像劇の第3巻。
以前webで公開されたバージョンに加筆修正を加えてリリースされている本作品、当初1・2・3の3巻構想だったものが、ページ数がかさんだため、3(上)、3(下)となったとのこと。そのページ数の増加分は、エピソードの追加よりも再構成による深化に向けられているというのが、読後の第一の印象。丹念に編み上げられたタペストリーを一度ほぐし緩め、そこに新たな糸を通すことで、より緻密で繊細なタペストリーを生み出したというイメージだ。特に主人公真壁にスポットを当て、web版よりも真壁という人物の人間らしさ、いびつさが一層多面的に描かれている。
「web版で一度読んだからいいや…」と敬遠している人にこそ読んで欲しい。より深みを、繊細さを増し、それでいて変わらない迷宮街がそこにはあるはずだ。そして「やっぱり自分はこの物語・この世界が大好きなんだ」ということを再認識できるはずだから。もちろん「web版?何それ?食えるの?」という新規の読者さんにもオススメ。むき出しの人間が繰り広げる極上の群像劇に初めて触れるという、web版読者が二度と手に入れられない特権を貴方達は有しているのだから、それを行使しない選択肢はない。