現代日本の京都に怪物が闊歩する大迷宮が突然出現した。そこは化け物達が徘徊し、不思議な力が使える。化け物達を殺し、殺されるという非日常的な空間でありながら、その上の街にはコンビニが存在し、そこを探索する探索社のための酒場までが存在する日常。
そんな非日常が日常になった迷宮街で迷宮における生死とそれを巡る人々の群像を描いた紛れもない傑作。
元々はWebで連載していた小説で、著者はサイコロで登場人物達の生死を決めていたというだけあって、容赦なく人が死んでいく。夢を抱いて来た者、金のために来た者、復讐のため、自分の修行のためなど、どんな事情を抱えて迷宮に挑む者でも、死は容赦なく訪れる。そんな死が身近にある状況だからこそ探索者から裏方の商社マン、迷宮街に存在するコンビニの店員まで無数のドラマと人間模様が生まれ、著者は見事にそれらを書ききっている。探索者からコンビニの店員まで、そこに生きる人達は皆魅力的で愛おしい。
また、現代社会に迷宮をおき、その探索を商業活動と結びつけるなど、地に足が付いたディテールもまた素晴らしい。現代社会ならではの生業を持ちながら週末に死と隣り合わせになる”週末冒険者”やネットを利用した情報発信などは、現代社会に存在する迷宮というフィクションの存在を限りなくリアルな者にしている。
文句なくお勧めの大傑作。読まなければ損だと自信を持って断言できる。