NHKテレビ放送の「迷宮美術館」で取り上げられた名画の誕生秘話を集めたムックも回を重ねて第5集まで出版されました。美術愛好家だけでなく、これから美術の素晴らしい世界を知りたい、ステキな作品と出会いたい、という人達に書かれた本です。いくら眺めても飽きません。廉価でありながらオールカラー、読みやすい解説、珍しい作品という点が支持されている理由だと思います。
今回も歌川国芳の「亀喜妙々」というカメを描きながら人気役者の顔を書きこむという珍しい作品が掲載してありました。レンブラントが100枚もの自画像を残した思いや、モローの聖書から題材をとった不思議な絵の解説など、興味深い話が展開されています。色彩の魔術師のドラクロワや近代風景画の世界を切り開いたコロー、サージェントの美しい作品「マダムX」でのスキャンダルなどが紹介されています。描いた画家の人生を辿りながら描かれた絵の背景を知るうちに、取り繕っていたように見える絵画がとても身近な存在に見えてくることがあります。
内容は、1 驚くべき技巧がふんだんに われこそはテクニシャン!、2 あふれる思いよ、とどけ! 絵は口ほどにものを言う、3 恋人、わが子、師…に捧ぐ 愛なきところに芸術なし、4 みんなとは違うが、これでいいのだ!わが道をいくアーティスト、5 美しいだけが絵画じゃない!傑作の陰に「闘い」あり、6 描けないけど、やっぱり好き!美に魂を奪われた人々、7 画家にいったい、何が起きた?!キャンバスは心の鏡、となっています。
絵画鑑賞において、画家の感性と鑑賞者の思いが融合したときに感動が生まれるのでしょう。絵に関するエピソードや背景、絵画の特徴を本書から知ることによって、より注意深い鑑賞眼が養われると考えます。