近衛文麿−−どこかリアリティーのかけた名前を持つ、この人のことをよく知りもしないで、だめな政治家だと決めつけていました。
政治家は結果論でしか評価されないので、3回も首相になった割には、なにもしていないこの人が、政治家として優秀であるとは、この本を読んだ今でもおもわない。
ですが、知的興奮をエンジンとしたこの謎解きにより、政策はないけれど、政局や政党政治、今日につながる派閥政治が得意という、きわめて日本的な政治家であると確信しました。いいわるいはともかくです。
細川元総理、菅直人といったクリーンさを売りにする、もしくはして、大衆(ぼくたち)の人気をさらった人たちと、イメージが重なります。本書のサブタイトルにある、ポピュリストというのは、このような意味でしょう。
あごが細い近衛文麿の横顔は、公家を連想させます。ママハハとうまくいかない、父親が早死にして、金に苦労する、幸せでない貴族。じつはこの大衆が大好きな貴種流離譚は、近衛が仕掛けたモノでした。この高貴でかつ庶民よりのPR戦略は大成功して、近衛は超人気者でした。
形を変えていまでも、政治家の人気取りは続いています。
まだまだあるけど、つづきはよんで。
ミステリーよりもおもしろい知的興奮がありました。
まつりあげておとすという構造は、田中真紀子の墜落とも重ね合わせました。