著者高階秀爾は、私にとって西洋絵画の先生であり、岩波新書「名画を見る眼(正)(続)」は西洋絵画への入門書であった。本書は、40年ぶりの文庫化らしいが、書かれている内容は新刊書下ろしのように新鮮で生々しい。
絵画は、それを書いた画家の個人的なバック・グラウンド、性格、人となり、家族、兄弟、恋人、友人との付き合い、生まれた環境等々によって大きく変わってくる、むしろそのような背景を知ることこそが「名画」誕生のいきさつを知ることが出来て興味深い、という考え方がある反面、「名画」はそれを描いた画家云々ではなく、その「絵」そのものが芸術的に美しいからというだけでいいのだ、という考え方もある。当然のことながら、本書は前者の立場でかかれている。そして著者は個々の画家のエピソードをわかりやすく丁寧な日本語で解説してくれている。