本書は、日本文学を専門とし、
東京大学教授を務めた著者が編者となり、
日本近代文学の歩みを概観する著作です。
明治初頭の仮名垣魯文・成島柳北から、
70年代の黒井千次さん・辻邦生さんらに至るまでの
小説の変遷や、代表的な作家・作品を紹介するほか、
詩歌、演劇についても章を分けて解説します
作家や詩人たちの間で繰り広げられた様々な論争
大逆事件や関東大震災が当時の文学界に与えた大きな影響など
興味深い記述ばかりなのですが、
個人的にとりわけ印象的だったのは
芥川龍之介の文学を大正という時代に注目して論じた一文(『市民文学の諸相』)です
近代文学の旗手、代表作を平易に紹介するとともに
日常的に接する現代文学の源泉を探る本書。
文学史に興味がある方に限らず
小説や詩、演劇が好きな方に強くオススメしたい著作です。