近代日本の中国観を扱った書籍は多いと思う。
この本の特徴は徳川期もその範疇に含めていることです。
この時期に初期の中国観が形成され、それは尊敬や自己卑下であったり、逆にその否定と自尊心の回復といったものでした。
また明治以降でも尊敬と軽蔑が依然として続き、そこに欧米列強の脅威を交えた複雑な関係が形成されています。
東亜共栄という考えは現在まで続いていますが、これは非常に難しい。
かなり多くの場合日本の自尊心や利益の獲得を正当化するための巧妙な方便になってしまいます。
これを克服するにはこの概念のもつ普遍性を自己や他者にもにも当てはめてみることが必要なのでしょう。
ここにはたくさんの思想家が登場しますが、やはり石橋湛山の主張は群を抜いていると思います。
なぜ彼がこれほどまでの思考ができたのか、非常に興味があります。
また中江兆民に西洋思想と東洋思想を結びつけるその所作も興味深いです。
全体に文体も読みやすく良書です。