この本は、以前、講談社文庫にあった塩月先生の訳で出版されていた.長らく、絶版であった.今、私は外科医をやっているが、若い医師に講談社版を勧めていた.しかし、長らく、出版が止まって、入手困難であった.今回、小川先生の新訳で、再出版された.以前の講談社版より、訳がこなれ読みやすい.外科医を志すなら、是非読んで欲しい.もちろん、外科医に限ってはいない.一般の方が読んでも、充分読みやすく、知的興奮を得る事が出来ると思う.
外科の歴史が、どれだけ悲惨で、それでも、少しずつ、少しずつ、進歩し、助かる人が増えてきた事が解る.文庫と違い、やや本が厚いので、文庫版で出してくれればもっと良かったのにと思う.翻訳者は高名な外科医で、ただでさえ忙しい中、ドイツ語からの翻訳(高度に知的であり、それゆえに、辛い作業でもある)を放り出すことなく、文字通り、根性一筋で訳している.
この本を読まない外科医を、私は認めない.そのくらいこの本を愛読している.是非、読んで下さい.そして、医学について、根源的に考えましょう.とにかく、素晴らしい本です.心底、著者、翻訳者には脱帽です.同時代にこう言う、才能があふれる作家がいたことは、幸せである.出来たら、全国の全ての医学生に読ませ、感想文を強制的にかかせてたい位である.こういう本を読んでいるときは至福の時間である.