今日のわれわれは民主主義や人権、国民国家、合理主義といった原理にもとづいた社会に生きて、文明的な利益を享受している。しかしそれらの多くはヨーロッパ起源である。そしてまた同時にその工業社会や資本主義、ナショナリズムが行き詰って多くの問題にぶつかっているのもまた事実である。
そんなヨーロッパの覇権による光と影とを、これから我々がいかに生きるかという問題意識から論じた骨太の一冊である。
アジア航路の開拓、宗教改革、ルネサンス、科学革命、産業革命、啓蒙思想、フランス革命、アメリカ独立、国民国家の形成・・・それぞれ一つだけでも大きなテーマであるが、盛りだくさんに上手に,そして有機的にまとめている。長くアジアの後塵を拝し、ユーラシアの一半島にすぎなかったヨーロッパが世界を制する「奇跡」を可能にしたものを論じていく。
そしてまた、第一次大戦後の没落、現在の諸問題、そしてEU等の今日も続く進歩的な試みを見ていく。21世紀の世界の課題をよく示してくれる、「興亡の世界史」のテーマにふさわしい一冊である。