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近代の労働観 (岩波新書)
 
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近代の労働観 (岩波新書) [新書]

今村 仁司
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

一日のかなりの時間をわれわれは労働に費やす.近代以降,労働には喜びが内在し,働くことが人間の本質であると考えられてきた.しかし,労働の喜びとは他者から承認されたいという欲望の充足ではないのか.承認欲望は人間を激烈な競争へと駆り立てる.労働文明の転換を近代の労働観の形成から提起する,社会思想史的考察.

内容(「BOOK」データベースより)

一日のかなりの時間をわれわれは労働に費やす。近代以降、労働には喜びが内在し、働くことが人間の本質であると考えられてきた。しかし、労働の喜びとは他者から承認されたいという欲望が充足されるときである。承認を求める欲望は人間を熾烈な競争へと駆り立てる。労働中心主義文明からの転換を、近代の労働観の検討から提起する。

登録情報

  • 新書: 200ページ
  • 出版社: 岩波書店 (1998/10/20)
  • ISBN-10: 4004305845
  • ISBN-13: 978-4004305842
  • 発売日: 1998/10/20
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.6 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
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形式:新書
「やりがいのある仕事に就こう」、「仕事は自己実現のためにある」。このタイプの言説にうんざりしたり、胡散臭さを感じたことがある人は少なくないのではないだろうか。評者はこのような気持ちからタイトルに惹かれ本書を購入したのだが、この本は、私の感じている疑問にはっきりとした解答を与えるタイプのものではなかった。

本書は、海外の理論家の著作を説明しながら記述が進むという、この著者の多くの著作に共通するスタイルで構成されている。その説明は妥当であり、現代思想にかんする充実した理解にたいして羨ましく思えるが、ややもすると「説明の切り貼り」になってしまうところが玉に瑕である。

本書についても残念ながらその傾向があるように思う。アレント、フーコー、アンリ・ドマン(たしかポール・ドマンの兄)、ハーバマスなどが論述の基礎である。

その他にもさまざまな理論家が出てくるが、要するに、古代から近代、そして現代へと、労働にたいする観念や解釈図式の変遷を、理論家の著述をもとに整理したものが本書であり、その整理ぶりが賞賛に値するものであっても、その反面、主題にたいする著者独自のつっこんだ検討は少なく(あえて挙げれば第四章の対他欲望の部分だが、これもジラール、ボードリヤールやその他そこで挙げられている理論家の議論が透けて見える)、「読んで目から鱗が落ちる」という類の本ではない。隔靴掻痒というのが正直な感想である。
(イメージメイキングすると、強打者が並んでいるのだが、イマイチつながりが悪い野球チームのような印象だ)

そうはいうものの、この本は労働観を主題とした数少ない本であり、またすぐれた教科書ではある。これだけコンパクトに、さまざまな理論家の著作をひとつの主題にまとめることは、誰にでもできることではない。読んで損をする本ではないので少しでも関心のある人は是非読んでほしい。アレントに興味がある人や、労働について考えている人にもおすすめである。

また、このレヴューに興味をもった人は、同じ岩波新書に入っている見田宗介の『現代社会の理論』(や見田の他の著作)もあわせて読むとよいと思う。

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By coper
形式:新書
我々は、1日の多くの時間を労働に費やす。近代以降、労働には喜びが内在し、働くことが“人間の本質”であると考えられてきた。しかし、“労働の喜び” や働くことが“人間の本質”であるといった思想や言説は、近代以降の社会条件の要望によって生み出された考えである。

ギリシヤ社会やアルカイックな社会の労働観を考察することにより、著者は、近代以降の労働観が歴史的に普遍的なものではないことを明らかにする。ギリシャ社会〜近代〜現代まで、どのようにして労働観が変遷したかを、フーコーの“監獄論”と絡めて考察している。

また“労働の喜び”(労働には本質的に喜びが内在しているという思想)を、ベルギーの社会主義学者アンリ・ド・マンの『労働の喜び』を参照としながら、それに反駁を加え、“労働の喜び”なるものが、他者から承認されたいという欲望が充足されるときにのみ生まれると述べる。考察にどれほどの妥当性があるかどうかは別にしても、アンリ・ド・マンの『労働の喜び』への反駁の項目は、読んでいる価値があるだろうと思う。
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形式:新書
本当に「労働に喜びはあるのか?」が、本書のテーマ。
「派遣切り」など非正規労働の雇用調整がクローズアップされている現在、
労働の意味を考え、問い直す良書。
(単なるワークバランスの在り方論ではなく、労働そのものの本質論です)

「労働のなかに喜びが内在し、その喜びにより人生の意味も労働に求めることができる」
という考え方は、虚構であると一貫して論じています。
つまり、このような「常識」は、産業革命以降の生産手段の発達に伴い労働者の自発的な
思いではなく、外発的につくられたものであるということ。
(労働は隷属的で、まさに労苦という労働観です)

後半、労働を通じて評価を求める承認行為を「虚栄心」として部下・同僚・
上司の相互関係で述べるくだりは、「能力主義賃金」・「評価制度」や「過労死」などに
さいなまれている私たちの本音や心情を明らかにしています。
(私はすごく、共感できました)
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