夢野久作著作集の第5巻(葦書房刊)には下記の内容が収めてある。
・ 近世怪人伝
・ 玄洋社からどんな人物が出たか
・ 父杉山茂丸を語る
・ 呑仙士
・ ビール会社征伐
・ 日韓合併思ひ出話
・ 父・杉山茂丸
・ 頭山満先生
・ 喜多文子
このなかでも、「近世怪人伝」には頭山満、杉山茂丸、奈良原到、篠崎仁三郎という怪人伝説が述べられているが、世間一般の常識ある人々には信じがたい逸話ばかりが並んでいる。
しかも、架空ではなく実際に博多の街を闊歩していた怪人たちである。
この一冊を読んでみたいと思ったのは次の「玄洋社からどんな人物が出たか」に登場する博多の侠客の親分である大野仁平のことを知りたかったからである。この人物は幕末、筑前に屯する農民、僧兵、侠客を集めて「勇敢隊」という倒幕軍を編成した人である。
ところが、「勇敢仁平」こと大野仁平を降参させたのが玄洋社社長である進藤喜平太であった。平常、年少者にも「さん」「君」づけで呼ぶ紳士然とした人がここぞという時にみせる豪胆さは頭山満翁も一目置く人だったという。
そして、植民地政策の謝罪を求める韓国・北朝鮮であるが、政治結社黒龍会の内田良平翁が語る日韓合邦に至った経緯が書き連ねてあり、これも興味深い。
敗戦後、GHQによって解散させられた玄洋社であるが、玄洋社について知りたい方には必読の書である。