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近世の仏教―華ひらく思想と文化 (歴史文化ライブラリー)
 
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近世の仏教―華ひらく思想と文化 (歴史文化ライブラリー) [単行本]

末木 文美士
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

これまで「仏教は近世には堕落し、儒教に取って代わられた」とされてきた。しかし、中国からの黄檗宗の影響や出版文化の隆盛により、仏教は民衆世界にまで大きく華ひらいていた。いま新しい近世仏教のすがたを描く。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

末木 文美士
1949年、山梨県に生まれる。1978年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。現在、国際日本文化研究センター教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 219ページ
  • 出版社: 吉川弘文館 (2010/06)
  • ISBN-10: 4642057005
  • ISBN-13: 978-4642057004
  • 発売日: 2010/06
  • 商品の寸法: 18.8 x 12.8 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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By ソコツ トップ100レビュアー VINE™ メンバー
形式:単行本|Amazonが確認した購入
辻善之助に代表される「近世仏教堕落論」が一種のイデオロギーでしかなかったことが言われ、近世仏教には近世仏教独自の思想的・実践的な魅力と可能性があったことは、各種の学術的な研究が明らかにしているところであり(その近年における最上の成果が、西村玲氏の『近世仏教思想の独創』(トランスビュ)ではないか)、アカデミズムでは当たり前の話である。だが、一般世間ではまだ「江戸時代=仏教が寺檀制度等により骨抜きになった時代」という認識がけっこう通用しているように思われる。そうした状況下、人気・実力ともに最高峰の仏教学者である末木氏が近世仏教(研究)の全体像をわかりやすく概説した本書は、著しく重要な作品としてある。
本末・寺檀制度が、単に「上」からの押付けとは言い切れない仏教界と江戸幕府との交渉のなかで成立した後、これに満足しない、あるいはこれを前提とした上で展開する各種の仏教運動が出現した。超宗派的兼学、戒律復興、思想の革新、文献の批判的研究、世俗道徳の深まり、民衆世界の信心の高まり、仏像コレクション、等々がそれである。本書では特に、中世的な本覚思想に対する対抗心や、あるいは出版文化の興隆という観点から、これら近世仏教の新しい運動が現出した理由が述べられており、説得的かつ面白い。
最後には、全体の内容を総括した上で、近世から近代への宗教構造の変容が論じられている。近代の仏教もまた昨今のアカデミズムで著しい進展が見られる分野であり、末木氏はその牽引役の一人である。興味深い近代仏教論を提示している氏によって、近世と近代の連続と断絶が俯瞰的に論じられ、これも明瞭な見取り図を与えられたという印象がある。
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5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 左党犬 トップ500レビュアー
形式:単行本
 戦国時代末期から江戸時代末期にかけての近世は、一般に思われているように「儒教の時代」ではなく、あくまでも「仏教の時代」であった。これが著者の基本認識であり、本書の主要テーマである。
 このテーマを、実に多岐にわたって簡潔に叙述した本書は、「近世の仏教」については、ほとんど知識をもっていない私のような一般読者にとっては、とにかく初めて知ることだらけなので、大きく目を開かれたという思いでいっぱいだ。いままでの常識が大きく崩れてゆくのを感じる内容の本である。

 仏教伝来から奈良仏教、平安仏教を経て、浄土宗、浄土真宗、曹洞宗、日蓮宗といった、現在でも主流の仏教教派が誕生した、いわゆる「鎌倉新仏教」から、いきなり江戸時代を飛び越えて現在にきてしまうのが、学校で勉強する日本仏教であるが、実際はそう簡単なものではない。
 織田信長による比叡山焼き討ちや石山本願寺との攻防戦、豊臣秀吉の切支丹弾圧などにみられるように、近世初期は宗教勢力と世俗勢力が激しくぶつかり合った時期であった。
 こののちに成立した徳川幕府は、徹底的に宗教を管理する方向に向かい、檀家制度を導入して、宗門人別改帳(しゅうもんにんべつ・あらためちょう)で一般民衆を管理する。しかも、葬式は仏教式以外はいっさい認めなかったので、仏教は一般民衆のものとして完全に定着した。中国や朝鮮とは異なって、儒教はあくまでも倫理の側面にとどまらざるをえなかったのが、東アジアにおいては日本の特色なのである。
 仏教寺院が徳川幕府と癒着して支配の道具になっていたというのは、実は革命政権である明治維新政府によるネガティブ・キャンペーンであり、われわれは学校教育をつうじてずっと洗脳されてきたのであったが、その呪縛もから百数十年を経たいま、ようやく覚めつつあるというわけだ。

 とくに本書で興味深いのは、中国大陸から江戸時代初期にあらたに伝えられた、座禅と念仏を行う黄檗(おうばく)宗の影響と、木版活字印刷の発展による出版文化の隆盛である。仏教の学問研究が深まり、一般には知られていないが、宗教意識のきわめて高かった仏教僧も多数現れている。これらをつうじて、仏教は信仰として民衆世界にまで広く浸透したのである。
 著者が指摘するように、江戸時代には、仏教がほぼ「国教」に近い存在であったことを知ると、なぜ明治維新に際して、「神仏分離と廃仏毀釈」によって、仏教が徹底的に弾圧されたかが、逆説的な形で理解されるのだ。幕末になると儒教の水戸学と復古神道が勢力を増してきて、ついには尊皇攘夷イデオロギーとして猛威を振るうことになったのだが、革命政権というものは、打倒した前政権を徹底的に否定するものだからだ。

 本書を読みながら、何度も「そうだったのか!」と目を開かれる思いがしたが、この思いを多くの人に共有してもらうことによって、「江戸時代の仏教」が一日も早く一般常識となる日が来ることを願うばかりだ。ぜひ一読をすすめたい。
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
どうもすっきりしない内容である。著者も「中心はあくまで思想史であり、近年研究が進んでいる制度史、社会史、民衆宗教史などの面には十分に目が届かなかった」と書いているが、確かに宗教者によって新たな教説が打ち出されたり、場合によって民衆への教導が行われていることは描かれていても、それが民衆にどのように受け止められたのか、社会の中でどのような位置にあったのかが十分に描かれていない。そのため、宗教者がそれなりに活動的だったのはわかるが、民衆と孤立したところで、単に教説をこねくり回しているだけのようにも見えてしまう。そういった思想が生まれた切実さというものが伝わってこない。以前にも著者の本を読んで同様の感想を抱いたことがあるので、単に個人的に興味の対象が異なるのかもしれないが。
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