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それから一つ二つ、詩の表面を眺めてほしい。結婚前の人には「鼻と鼻がこんなに近くにあって」ではじまる「婚約」なんかどうだろう。おたがいに鼻と鼻をくっつけあって、幸せ絶頂の二人が、さわやかな五月の窓辺で酸素欠乏症で死んでしまうのではないか、といった散文的な内容が、五月の明るい光のなかで一篇の詩になっている。詩であることは、かくも言葉がかろやかに光るものなのか。次の「結婚にさいして」とある「挨拶」を読んで、ぐっとこなければ、この詩集には縁がなかったと思ってほしい。
『辻俳諧詩集』から収録された「吾妻橋」を読んで、不覚にも、また、胸が熱くなった。こんな詩のごときにと思うのだが、辻征夫流にいえば理屈じゃねえってところか。セピア色の写真のなかにまぎれこんだ哀しみとでもいったらいいか。『辻俳諧詩集』からもっと選んでほしかったが、この本を気にいった人なら、たぶんこちらの本も探し出してくれることだろう。
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