この本は、いわゆる我が国でクラシックの本場と目されていたり、多くの作曲家が聴かれているドイツ、オーストリア、イタリア、フランス、イギリス、ロシア等…ではない国々から、どんな作曲家が輩出されどんな作品を残したのか、という多くのクラシック音楽愛好家が一度は考えながらもその途方もない広大さに登るのを逡巡し立ち止まってしまった高峰に挑んだ、その勇気溢れる第一歩を記した書である。
今回はスペイン、ポルトガル、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクの五ヶ国が対象(比較的ヨーロッパ中心部に近いが、おそらく第2弾以降はさらなる辺境・周縁に進んでいくのだろう)で、取り上げられた作曲家は120人以上、もちろんファリャ、グラナドス、ロドリーゴ等、既に多くの人に知られている作曲家を省いての選である。
また、基本的に録音で聴けるものを中心にしており、入手困難盤が多いにも関わらずCD情報が豊富に掲載されている。著者が自分の耳で聴いて確かめるという姿勢がベースにあり、レア音源収集に費やした情熱と労力思えば、ただただ驚嘆せざるを得ない。
有名作曲家の作品を聴くばかりの日々にやや飽いてきた方、未知の作曲家の作品との出会いを求める方はどうぞためらわずにこの本を開こう、素晴らしい世界が待っている。