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農耕社会の成立〈シリーズ 日本古代史 1〉 (岩波新書)
 
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農耕社会の成立〈シリーズ 日本古代史 1〉 (岩波新書) [新書]

石川 日出志
5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

縄文の集落から弥生の農耕社会へ。稲作の導入を契機とする、日本列島の歴史の大きな分岐点は、しかし、「縄文人から弥生人へ」という単純な交代ではなく、複線としての歴史の始まりであった。北海道から沖縄まで列島全体をひろく視野に、ゆたかな地域性を保ちつつ緩やかに変わってゆく列島の姿を新鮮に描きだす。

内容(「BOOK」データベースより)

「海を越えてやってきた渡来人が、縄文人にかわり、西日本を中心に新しい文化を築いた」という一般的な弥生時代のイメージ。しかし、稲作の導入を契機とする日本列島の歴史の大きな分岐点は、もっと緩やかにして多様なものであった。縄文から弥生への連続性と、地域文化の豊かさに注目しつつ、「複線」としての歴史像を新鮮に描きだす。

登録情報

  • 新書: 256ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2010/10/21)
  • ISBN-10: 400431271X
  • ISBN-13: 978-4004312710
  • 発売日: 2010/10/21
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.6 x 1 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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9 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ib_pata VINE™ メンバー
 縄文に関しては「完新世の日本列島に現われた新たな生態環境に適応した諸地域文化を、穏やかに縄文文化とくくって理解する」というのがまとめになるでしょうか(p.42)。弥生に関しては、縄文と弥生に関しては継続性を重視する描き方。「おわりに」で弥生は旧石器、縄文、古墳時代と比べて、地域ごとの文化的差異が大きく、どこでも刻々と社会変遷をとげているのが特徴で、森林性新石器時代文化の縄文と、古墳時代への変化の課程として理解するのが穏当か、というあたりも納得的。日本列島では夏場に台風が来襲すればコメの収穫が見込めなくなってしまうので、登呂遺跡ではモモ・ヒョウタン類・マクワウリといった夏の果実類と、ドングリ・クルミ、クリ・トチノキといった秋の堅果類、それにマメ類やムギ類といった畠作物と組み合わせて危険を回避していたというあたりも興味深かった(p.71)。

 また、昔は「何に使ったのかよくわからない」とされてきた銅鐸ですが、《繰り返し舌が打ち付けられて内面突帯が磨り減っている例が認められ》るなど音響具であり(p.114)、銅鐸が打ち鳴らされる中で、物語が吟じられて、豊穣を祈る農耕儀礼のパフォーマンスが繰り広げられていたのであろうというところまで、今では確信に満ちて書かれるんだな、と思いました(p.116)。
 
 ハイライトはヤマト王権の成立のあたり。三雲南小路遺跡は福岡県糸島市にあるのですが、「糸島」は元は怡土郡(いとぐん)と志摩郡(しまぐん)にわけられる、と。さらに、この怡土郡は魏志倭人伝に出てくる伊都国の読みが引きつがれている、と。そして伊都国は王を持ちながらも「皆女王国に統属す」という記述があるので、邪馬台国は北部九州以外にある蓋然性を示しているのではないか、というあたりもいいかな。
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3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Gori トップ500レビュアー VINE™ メンバー
1955年生まれの僕は「縄文時代は大陸から稲作を持ってわたってきた弥生人たちに取って代わられた」
と習った、しかし今はそうではないと言われている事は、常識の範疇に入るのだろうか。
稲作はもちろん急に伝わった訳ではない。縄文時代から徐々に浸透し、日本中に広がっていったのである。
では、縄文時代はなぜ終わりを告げたのか。もちろんこれとてカットアウトではない。
答えは本書で。
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By Avena
 著者は、縄文時代と弥生時代を対立的に考える枠組みを過去のものとし、連続性を強調している。しかしながらその主張が十分な根拠をもっているように読み取れなかった。
 本書で提示されている縄文時代と弥生時代の連続性を示す事例は、北九州における土器の様式の変化のみである。連続性を主張するには、もう少し多面的な証拠が必要なのではないだろうか。また、その土器の変化が十年の話なのか数百年間の変化なのかさっぱりわからない。これと関連して、弥生時代の開始年代については何の根拠も示すことなく「従来の年代値は、(中略)抑え気味のものであり、一方、歴博の主張する前10世紀は古すぎる」としている。科学的な証拠に基づいて提出されている仮設を否定するのであれば、それなりの根拠を示すべきであろう。実年代の決定は東アジアのイベントと弥生時代のはじまりとの関連を考える上できわめて重要な問題である。実年代の問題についてほとんど触れられていないのは大変残念である。
 もう一つ十分な議論が必要と感じたのが人骨の問題である。いくつかの例外があるものの縄文時代と弥生時代とでは人骨の形質が大きく変化するのは否定しがたい。しかし、本書はこれを「渡来系/縄文系という二分法で考えることがそもそもどれほど有効なのかという疑問さえ生じてくる」と切り捨てている。人骨が変化したことは、そこに住む人間が変わったと考えるのが最も単純な解釈である。とすると、縄文時代と弥生時代の間には局所的な融合があったしても、それなりの断絶を想定するのが自然ではないだろうか。
 日本列島に住む人々の歴史が複線であったと捉え、北海道や南西諸島の文化にページを割いている点はとても新鮮に感じただけに、肝心の「農耕社会の成立」についての不十分な議論にはややがっかりである。
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