力作である。
衰退しつつある日本の農業の、将来に向けて必要な提案がとてもたくさん込められている。
著者は、政策決定に携わってきただけあって、今のこの国の農業をめぐる問題点を、深くとらえている。
著者の主張は明確である。
農業政策で今のこの国にあるのは、農家の保護であって、消費者の目線はどこにもない。
今必要なのは、減反の廃止、関税の削減とEUのような大規模主業農家に限定した直接支払い政策である。
興味深い分析がいくつもある。
日本の米価と中国の米価が近づいてきているという。このまま行けば、十分輸出で採算が取れる可能性もあるという。
減反をやめれば、国内需要も拡大するし、ミニマムアクセスも不要となる。備蓄米の政府負担も削減できるという。
さらに、今話題の口蹄疫も輸入麦わらが感染源として疑われており、減反をやめて大規模化を進めれば必然と麦わらの収集が進み口蹄疫の予防にもつながるともいう。
化学肥料や除草剤など環境に負荷のかかる作業をしているのも、兼業農家であるともいう。
それにしても、農協という組織は、農家のためでもなくましてや消費者のためでもない自己防衛と集票のための組織となってしまったのかと愕然とさせられる。